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前回は、所得控除の中の人的な控除にポイントを絞ってお話いたしました。この人的な所得控除は、その年によって扶養親族の状況に大きく変化がもたらされることが予想されますので、ご自分の所得控除の適用状況は、毎年きっちりと見直すことにしましょう。 今回は、生命保険料や社会保険料の支払い等、税負担能力の減少に配慮した物的な控除、医療費控除や雑損控除等のようにサラリーマンであっても確定申告が必要となる所得控除についてお話いたします。 これだけ知っていれば大丈夫!所得税の基礎の基礎〜サラリーマン編B〜 T 節税のポイントはやはり所得控除を増やすこと (1)過去の未払社会保険料まとめ払いで税金少なくなります! 納税者本人あるいは生計を一にする配偶者その他親族が負担する健康保険や年金等の社会保険料は、その全額を所得金額から控除することができます。 サラリーマン等給与所得者の場合には、給与から天引きされている社会保険料について、年末調整によって所得から控除されます。これとは別に、本人が直接支払っている国民年金などの掛金や、20歳を過ぎた学生等を扶養していて、この保険料を親が負担しているような場合にも、控除の対象となります。 社会保険料控除の基準となるのは、支払日です。つまり、過去の未払国民年金などをまとめて支払ったとしても、全額支払った年の所得から差し引くことができるのです。 1年分の保険料を前納した場合にも、支払った年に一括して控除することができます。 国民年金保険料を遡って支払える追納期間を、現在の2年から5年に延長するという議論があるようですが(詳細は真島先生に聞いてください!)、所得が多い年にまとめて国民年金保険料を支払うことで、節税効果を期待することができます。 なお、国民年金保険料について社会保険料控除を受ける場合には、保険料を納付した証明書の添付が義務付けられています。 (2)生命保険料・損害保険料控除はメリットが小さい!? 受取人が本人あるいは本人の配偶者その他親族となっている生命保険契約等に基づいて支払われる生命保険料・共済掛金、個人年金保険契約等に基づく年金保険料等を支払った場合には、生命保険料控除を受けることができます。生命保険と個人年金保険にそれぞれ加入していれば、それぞれ最高で5万円、合わせて10万円を所得から控除できるというものです(住民税は最高3万5千円、合わせて7万円)。 具体的に生命保険料控除の対象となる金額を示すと以下のようになります。 生命保険料と個人年金保険料のそれぞれについて、上記の表にあてはめて計算します。したがって、年間の支払保険料が10万円を超えると、生命保険料控除の限度額5万円を受けることができますが、両タイプの保険料をそれぞれ10万円超負担していれば、所得税で最高10万円、住民税で最高7万円の控除を受けることができます。 しかし、生命保険料控除額は保険料をどんなに多く支払っても、この5万円を超えて控除することはできません。仮に、年間30万円の保険料を支払っても控除額は5万円より増えることはありませんので、税率10%の人が30万円を支払っても節税額は5千円程度にしかならないのです。 一方、納税者本人や家族の生活用資産に対し、損害保険料や火災共済掛金等を支払った場合には、損害保険料控除を受けることができます。生命保険料とは別枠での控除となりますが、これについても控除額がとても小さいのが現状です。 損害保険料控除は、長期保険契約に基づくもので控除限度額1万5千円(住民税1万円)、短期保険契約に基づくもので控除限度額3千円(住民税2千円)となります。 長期・短期両方の損害保険契約がある場合でも、控除限度額は所得税で1万5千円、住民税で1万円となってしまいます。 なお、これら生命保険料と損害保険料の控除を受ける場合にも、保険料支払額の証明書の添付が必要になります。 U 年末調整で還付してもらえないものは還付申告をしましょう! これまでみてきたように、サラリーマン等給与所得者の場合には、確定申告をしなくても会社が年末調整をしてくれることによって、いわば自動的に税金が戻ります。もちろん、この年末調整によって、個々人の所得控除もきっちりと考慮されることになります。 ところが、年末調整では考慮してもらえない控除項目が存在します。以下で説明する雑損控除、医療費控除、寄付金控除がそれに該当します。これらの控除を受ける場合には、確定申告をしなければなりません。確定申告をしなければ、税金の還付を受けることはできませんので注意が必要です。 (1)地震などの災害や泥棒に入られたときは税金が戻ります! 万一、自然災害や盗難にあってしまった場合、被害にあった金額は雑損控除の対象になります。この雑損控除の対象になるのは、火事、水害、地震、空巣、スリなどによる損失です。 別荘や時価30万円を超えるような貴金属や骨董品など、生活に通常必要でない資産は対象外ですので注意が必要です。また、少し前に流行したオレオレ詐欺も対象になりません。 控除される金額は、被害にあった金額からその年の所得金額の10%を差し引いた残りの金額となります。もちろん、損害保険等に入っていて保険金が支払われるケースであれば、その分は被害にあった金額から差し引くことになります。 また、被災した資産の取壊費用や雪下ろしなどのような災害防止費用などがある場合には、この災害関連支出金額から5万円を差し引いた金額のうちどちらか多い方が雑損控除の対象となります。 具体的な算式で示すと以下のようになります。 以上の@式とA式のうち、いずれか大きい方の金額が雑損控除の対象になります。被害にあった損失額が非常に大きく、その年に控除しきれない損失が生じた場合には、翌年以降3年間の所得に繰越して控除することが可能です。 雑損控除は会社の年末調整では手続きができませんので、自身で確定申告をして還付手続きをとることになります。また、所得金額38万円以下の生計を一にする配偶者や扶養家族が持っている家財などが被害にあった場合にも雑損控除が適用されますので、納税者本人だけでなく、配偶者や扶養家族に被害があったときは、消防署や警察署に被害届を出して被害額の届出証明をもらっておくことが必要です。災害関連支出の領収書等もしっかりとっておきましょう。 (2)医療費は10万円以下でも税金が戻ります! 年間に支払った医療費が原則として10万円を超える場合には、医療費控除を受けることができます。しかし、所得金額が200万円に満たない人であれば、10万円を超えていなくても大丈夫です。年間に支払った医療費が所得金額の5%を超えていれば医療費控除を受けることができます。たとえば、所得金額が100万円の人であれば、医療費が5万円を超えていれば、控除の対象になるのです。 具体的な控除金額の求め方は、まず、年間に支払った医療費の金額から生命保険会社等から補填された金額を差し引きます。出産費用がある場合には出産一時金を、生命保険会社から入院給付金が出た場合には、その金額を差し引くといった具合です。このようにして、その年度に支出した医療費の実費負担額を計算した後で、10万円(所得が200万円以下の人はその5%)を差し引いて残った金額が医療費控除額ということになります。 この医療費控除は、家族の医療費を全てまとめて計算できます。遠隔地に住む親の医療費であっても生計を一にしていれば大丈夫です。しかし、何でもかんでも医療費控除の対象というわけにはいきません。控除の対象となる医療費は、一般的に言われている医療費とは若干その範囲が異なりますので注意が必要です。 たとえば、一般的な治療費・入院費は対象となりますが、美容整形やバストイレ付き個室を使った場合などの差額分、医師などへの謝礼、パジャマなどのクリーニング代は対象となりません。また、通院に必要なバス・電車代は対象となりますが、タクシー代(バス・電車による移動が困難な場合や緊急時は可)や自家用車で通院した場合のガソリン代・駐車料も対象となりません。健康診断や人間ドック、妊娠判定の検診料等も、病気が見つかり引き続き治療する場合を除いて、対象となりません。 ポイントとしては、医師の指示があったものや治療のためなら対象となりますが、予防目的のものやぜいたく品などは対象にならないということになります。 なお、医療費控除を適用するにあたっては、確定申告の際に医療費支出の事実を領収書等によって証明する必要があります。また、どんなに高額の医療費を支払っても控除できる金額は最大200万円までとなります。 (3)年間1万円を超える寄付で税金が戻ります! 災害や選挙で、公共性の高い団体等へ寄付をした場合、寄付金控除を受けることができます。具体的な計算方法は以下のとおり。 その年に寄付した金額から1万円を差し引いた金額を所得控除の対象とすることができます。したがって、年間1万円を超える寄付をしないと所得控除を受けることはできず、逆にどんなにたくさんの寄付をしても控除できる金額は所得金額の30%が限度となります。また、住民税の場合には、10万円を超える寄付をしないと控除対象になりません。 対象となる寄付金にも制限があり、国や地方公共団体、学校やNPO法人等公共性の高い団体のみに限定されています。住民税の場合には、さらに範囲が狭くなっていますので注意が必要です。 この寄付金控除を受けようとする場合にも、必ず確定申告を必要とします。確定申告の際には、寄付金を受け付けた団体からの証明書類の添付が必要となります。 今回は、生命保険料や社会保険料の支払い、医療費や災害等の支出に伴う税負担能力の減少に配慮した控除についてお話いたしました。サラリーマン等の給与所得者は、年末調整によってこれらの控除を受けることができますが、医療費控除や雑損控除等については、サラリーマンであっても確定申告が必要となりますので、忘れることのないようにしましょう。 |
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第5回目へ続く |
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