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−ときざわ・ゆたか−
  税理士
  趣味:ビリヤード、釣り

 公認会計士田上会計事務所勤務

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鴇沢 裕

 今回は、これだけ知っていれば大丈夫!所得税の基礎の基礎、サラリーマン編です。前回の続きとなります。サラリーマン等給与所得者の税金がどのようにして計算されるのか、年末調整と個人確定申告の関係がどのようになされているのか、前回は、その概要を理解していただきました。
 今回以降、2〜3回にわたって、年末調整や確定申告で、実際に還付を受けるための所得控除や税額控除にはどのようなものがあるのかを見ていくことにしましょう。

 これだけ知っていれば大丈夫!所得税の基礎の基礎〜サラリーマン編A

T 負担する税金は所得税だけではありません
 所得控除や税額控除の説明をする前に忘れてはいけないことがあります。
 前回では、所得税のみにスポットをあててきましたが、個人に対して課税される税金は、所得税だけではありません。いわゆる住民税(道府県民税・市町村民税)についても負担する必要があります。
 住民税における課税標準も所得税同様、各個人の所得ですが、その税率に相違があります。

 所得の多寡に関係のない負担もあります
 道府県民税と市町村民税は、均等割と呼ばれる所得の多寡に関係のない一人当たり定額の負担部分と、所得割と呼ばれる課税所得に一定の税率を乗じて計算される部分とからなります。
 均等割は、以下の表のように、所得がある人でもない人でも定額を負担する必要があります。そして、所得割は、所得税の計算プロセスと同様、課税所得に応じて税率が適用されます。


 以上のように、住民税の計算においても所得が課税標準となる点は所得税と全く同じです。異なってくるのは、均等割が設けられている点と所得割における税率ということになります。

U 節税のポイントは所得控除を増やすこと
 所得控除は、第2回(2)で説明したように、給与収入以外の要因によって発生する、各個人の税金の負担能力の違いを調整しようとするものです。つまり、所得控除は各納税者の個別状況に配慮しようとするものであり、税額計算の対象となる課税所得金額から差し引かれます
 所得税の計算プロセスをもう一度おさらいしてみましょう。


 したがって、上図赤色部分の、所得控除の額が大きければ大きいほど課税所得金額は小さくなり、結果として、税金の額も小さくなります。

 この所得控除には、各個人やその年齢、家族構成等に基づく人的な控除とある一定の支出をした場合に適用が認められる物的な控除がありますが、所得控除の考え方それ自体としては、住民税における場合も所得税における場合も、所得控除の額に若干の違いがあることを除いて全く同様です。所得控除にはどんなものがあるのか、所得税と住民税を合わせて具体的に見ていきましょう。

(1)配偶者控除・配偶者特別控除は配偶者の収入次第
 納税者本人と生計をともにしている配偶者に、所得が全くない場合や、所得があってもその所得金額が38万円以下である場合には、配偶者控除を受けることができます。この配偶者控除は、所得額から38万円(住民税は33万円)を控除することができます。

 給与収入は、年収に応じた給与所得控除額が差し引かれて所得が決まります(第2回(6)参照)。給与所得控除の最低控除額は65万円ですので、したがって、配偶者の給与収入が103万円までなら配偶者控除の対象となります(給与収入103万円−給与所得控除65万円=38万円)。
 一方、給与収入が103万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりますが、141万円未満までなら、段階的に配偶者特別控除を受けることができます。
 したがって、配偶者控除と配偶者特別控除の関係を示すと、上のグラフのように、年収103万円までは38万円の配偶者控除が受けられますが、103万円を境に38万円あった控除額が5万円単位で引き下げられ、年収141万円で控除額はゼロとなります。具体的な金額を示すと、以下の表のようになります。

 たとえば、配偶者の年収が108万円であった場合、103万円を超えてしまいましたので、この段階で配偶者控除38万円は受けられませんが、配偶者特別控除を36万円(住民税の場合は33万円)受けることができます。

 住民税における配偶者控除額は33万円であり、配偶者特別控除額は所得税同様に、配偶者の給与収入に応じて以下の表のように変化します。


  また、配偶者の年齢が71歳以上である場合、控除額が10万円増加します。


 なお、配偶者特別控除は、納税者本人の所得金額が1,000万円を超える場合、対象となる配偶者が他の扶養親族となっている場合、事業専従者控除の対象となっている場合には適用されません。

(2)基礎控除38万円は誰でも受けられます
 配偶者である妻の給与収入が103万円以下であれば、その夫は配偶者控除を受けることができましたが、配偶者である妻の税金はどうなるのでしょうか。

 妻の給与収入が仮に103万円ぴったりであるとすれば、先に示したように、給与収入103万円−給与所得控除65万円=給与所得38万円となります。しかし、所得税の場合は、基礎控除38万円を誰でも受けることができますので、結果的に給与所得金額はゼロとなり、税金はかかりません。
 住民税の場合の基礎控除額は33万円ですが、非課税限度額が35万円ですので、したがって、100万円以下であれば、所得税も住民税もどちらもゼロという結果になります(給与収入100万円−給与所得控除65万円≦住民税の非課税限度額35万円)。
 このように基礎控除は、全ての納税者一律に無条件で与えられる控除なのです。

(3)16〜22歳の子供を扶養していれば63万円の扶養控除です
 扶養控除は、生活費負担に配慮して、扶養親族一人当たりについて38万円を控除(住民税は33万円)するものですが、扶養控除の対象とするためには、@年間の所得金額が38万円以下であること、A他の人の扶養親族や事業専従者になっていないこと、B納税者と生計を一にしていること、C納税者の親族であること(配偶者を除く)という4つの用件全てを満たしている必要があります。

 生計を一にとは、同居していないと扶養控除が受けられないというわけではなく、やむを得ず同居できない場合でも、仕送りなどをしていて生計が同じであれば、扶養控除の対象とすることができます。したがって、赴任や就学はもちろん、故郷に住んでいる年金暮らしの両親に仕送りをしている場合でも、特に証明書を添付する必要もなく扶養控除を受けることができます。

 この扶養控除の適用がなされるか否かは、毎年12月31日現在の状況で判断します。したがって、12月31日に生まれた赤ちゃんは、1日しか扶養していないにもかかわらず、38万円を所得から控除できます(年の途中で扶養親族が亡くなった場合には、その年分の扶養控除を受けることができます)。
なお、ここで言う納税者の親族とは、6親等内血族と3親等内姻族を指します。

 一方、扶養親族の年齢や同居の有無によって、控除額が異なります。以下の表のように、16〜22歳の子供を扶養している場合には、教育費などにお金がかかるため、控除額は63万円となります。70歳以上の老人と一緒に住んでいる場合にも、控除額は58万円となります。大家族は結構お得ですね。


 同居老親等とは、納税者または配偶者の直系尊属(父母、祖父母)で納税者または配偶者と同居している老人を指します。また、老親が長期入院している場合は、治療のためであれば同居に該当しますが、老人ホームなどへ入所している場合には同居老親等に該当しません。

(4)夫や妻と死別あるいは離婚した場合も控除が受けられます
 夫や妻と死別あるいは離婚した場合などで、夫と妻それぞれ次の用件を満たす場合には、寡夫(寡婦)控除を受けることができます。

寡夫控除(男性の場合)
 @ 妻と死別あるいは離婚してまだ再婚していないこと
 A 総所得金額38万円以下の生計を一にする子供を扶養していること
 B 自身の所得金額が500万円以下であること

 以上の用件を全て満たす寡夫である場合、所得税27万円、住民税26万円を控除することができます。

寡婦控除(女性の場合)
 @ 夫と死別あるいは離婚してまだ再婚していないこと
 A 総所得金額38万円以下の生計を一にする子供を扶養していること
 B 自身の所得金額が500万円以下であること

 以上の用件を全て満たす寡婦である場合、所得税35万円住民税30万円を控除することができます。
夫と離婚ではなく、死別した後まだ再婚していない妻は、扶養親族である子供の有無にかかわらず、所得金額が500万円以下であれば、所得税27万円住民税26万円を控除することができます。また、この場合、所得金額が500万円以下でなくとも、総所得金額38万円以下の生計を一にする子供を扶養していれば、所得税27万円住民税26万円を控除することができます。

(5)ハンディキャップがある人に対する控除もあります
 納税者自身が障害者である場合には、障害者控除を受けることができます。


 ここで言う障害者とは、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人や知的障害者として判定された人などを指します。特別障害者は、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳に記載された障害の程度が1級または2級あるいは重度と判定された人などを指します。


(6)配偶者や扶養親族が障害者の場合、控除額が割増しされます
 控除対象配偶者が70歳以上の場合には、さらに所得税10万円、住民税5万円が割増しされます。また、特定扶養親族(年齢16〜22歳)がいる場合には、所得税25万円、住民税12万円がそれぞれ割増しされます。
 今回は、所得控除の中の人的な控除にポイントを絞ってお話いたしました。人的な控除だけでもたくさんあることがわかっていただけたと思います。特にこの人的な所得控除は、その年によって扶養親族の状況に大きく変化がもたらされることが予想されます。ご自分の所得控除の適用状況を今一度見直してみるのもよいのではないでしょうか。
 また、サラリーマン等の給与所得者に扶養親族が増えた場合には、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」の異動届を提出することによって、届出の日以降支払われる給与から、源泉徴収税額を少なくすることができます。課税所得金額330万円以下の人でも子供が一人生まれれば、年間約3万円の減税になりますので、申告を忘れることのないようにしましょう。
 次回は、医療費や保険料の支出など税負担能力の減少に配慮した物的な控除についてお話する予定です。
第4回目へ続く

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