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はじめに この度、「税金」のお話をさせていただくことになりました鴇沢と申します(詳細は公認会計士田上敏明事務所参照)。念のため、読み仮名は、「うざわ」でも「かもざわ」でもはたまた「とりざわ」でもありません。「ときざわ」と読みます。 真島伸一郎先生には仕事の関係で大変お世話になっております。ある日、仕事が一段楽し、一緒に食事を楽しませていただいていたその時・・、恐らくは思いつきだと思いますが・・、 また、せっかくお話をするのですから、本稿を読まれる皆さんにとって直接的な利益になるようなお話を中心に考えております。今後、1〜2ヶ月に一度の連載を目指して頑張りたいと思います。 さてさて、一口に税金の話といいましても、わが国にはたくさんの種類の税金があり、その徴収方法も複雑かつ多岐にわたっています。 代表的なものを例にとると、給与から源泉徴収される所得税、日常でのお買い物の都度徴収される消費税、人が亡くなった時には相続税、人からものをもらえば贈与税、財産を持っていれば固定資産税などといった具合です。 その上、税金は、すべての国民から公平に徴収できるよう個々の事情を加味して作られており、また、国による景気刺激策等の観点からの減税や増税が毎年のように行われております。その結果、税金の計算は、我々一般国民にとって非常に複雑で難解なものとなっているのです。 本稿を読まれている皆さんの中にも、「税金なんて、複雑でよく分からないし、まぁ分からなくてもいいや」などと思っている人はいませんか?消費税を中心とした増税の話題がマスコミを賑わしている中で、「・・何だか不安だけど、現時点ではさしあたり問題はないかな?」などという安易な考えを持っていませんか?しまいには、「そもそも、税金の話なんて聞きたくないよ!」と思われた人はいませんか? 確かに、いきなり、税金の話と言われても、聞きたい人はいないと思います。でも、ちょっと待ってください。何事も知っているのと知らないのとでは大違いです。特に税金の場合は、事前に知識を有しているか否かで負担する税額に決定的な違いが出てきたりします。税金の話なんて嫌だと思っているあなたこそ、本稿を読んで、一歩だけ税金に足を踏み込んでみてください。 私も実務に携わる中で、税金の分かりにくさから、税金に対する一般的なイメージが非常にダークなものになっているのを感じます。そのためか、なかなか納税に対する認識や理解が得られず、納税は単なる義務感として捉えられがちです。しかし、それが、納税者の認識の誤りやさらなる納税意識の欠如に直結し、結果的に、納税に対する不満や重税感を引き起こす要因になっているのではないでしょうか。 政府が打ち出している税制改革への基本シナリオは、「公平に負担を分かち合う"あるべき税制"の構築」(財務省税制調査会http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/syuzei.htm)です。政府は、「分かち合う」なんていう何とも素晴らしい皆のお手本のような言葉を使いますが、フタを開ければその中身は「幅広い税負担」なのです。幅広い税負担とは、つまるところ皆の増税です。 着々と進行している少子高齢社会に対し、税金の重要性はますます高まってきています。それに加えて、今日の国や地方が抱える深刻な財政状態を鑑みると、今後、ドラスティックな増税がじわりじわりとそして否応なしにやってくるでしょう。 税金を避けて通れるならば、それに越したことはないかもしれません。しかし、現実問題として、我々が日本国内で日本国民として生活していくためには、税金の使われ方をよく知り、国家運営のコストを負担するという積極的な姿勢を持つことが必要なのではないでしょうか。将来に対する増税感がいよいよ漂う中で、今後我々に必要なのは、納税に対して不満を抱くのではなく、税金といかに付き合っていくかという前向きな姿勢なのです。
とはいえ、税金についてすべてを理解するのは容易なことではありません。本稿では、税金の知識があまりない人を対象にし、また、「我々にあまりなじみのない税金の話を分かりやすく」という真島先生の意向に基づいて、サラリーマンや自営業者が身近に感じられるようなテーマにしぼってお話をしていくことにします。 また、「税金を安く抑える方法はないのかなぁ」と考えるのが人情だと思いますし、分かりにくい税金をより分かりやすくという点を第一に考え、すべてを読まなくとも特定の項目を読むだけで、その仕組みおよび節税のポイントが分かるように工夫していきたいと思います。 なお、税制は毎年のように改正を繰り返しておりますので、本稿の内容はある程度流動的となってしまうことをお断りしておきます。また、本稿の内容についての疑問点や質問あるいは叱正などは、鴇沢宛にご連絡をいただければ、可能な範囲でお答えいたしたいと思います。本稿の内容に関するありうべき責任は、無論、すべて私個人に帰属することを付け加えておきます。鴇沢へのメールはこちら T どうして税金が必要なの? −税金の種類と役割― 税金は、大きく国税と地方税に分かれます。国税とは、所得税、法人税、消費税、相続税など・・、地方税とは、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税・・・などなどです。まずは、税金の全体的イメージを掴むためにも、どんな税金があるのかを知っていただきたいと思います。節税ポイントをいきなりお話するのもいいですが、全体的なイメージを掌握することが、税金理解への近道であると思いますので、まずは、我々がどんな税金をどの程度負担しているのか、主要なものだけを大まかに、若干の論点を整理しながら見てみたいと思います。
上の円グラフは、国税・地方税の税収割合を17年度予算ベースでみたものです。このグラフから分かるように、税金をはかる主要なものさしは、@所得課税、A消費課税、B資産課税の3つです。このうち、給料や個人事業の儲けあるいは会社の儲けに対して課税されるのが所得課税です。消費税やたばこ税、酒税のように購入の都度課税されるのが消費課税です。そして、土地や建物などの財産について課税されるのが資産課税です。 この3つの中で、所得課税が全体の約半分を占めているのが分かります。そして、その所得課税のうち個人が負担する所得税と会社が負担する法人税で、大体半分ずつになっています。資産課税は16%で、その大部分は固定資産税が占めており(11%)、一般的に税率が高いと言われる相続税・贈与税からの税収割合は1.5%しかないのが分かります。また、消費課税のうち、さらなる増税が叫ばれている消費税の割合が15%もあることが分かります。
このグラフから何が読みとれるでしょうか。消費税の割合を1%引き上げるだけで、相続税・贈与税を廃止しても国家収入としては同様の効果を得ることができます。では逆に相続税・贈与税の増税をはかり、その代わり消費税を据え置いてみたらどうなると思われますか?相続税・贈与税は、通常、財産をたくさん持っている富裕層に課税されるものですから、富裕層だけの税負担が増加することになります。 税金負担の原則の一つに課税の公平性というのがあります。富める人も貧しい人もすべてみな一律に税金を徴収したらどうでしょうか。才能に恵まれている人や身内から大きな財産を受け継いだ人、逆に所得の少ない人も、みな一律に消費税のみを納めればよいことになったら、それは果たして公平と言えるのでしょうか。消費税のみですべての税収が賄われるとすれば、消費税以外の税金がなくなる代わりに、消費税だけで税率約40%にも達してしまう計算になります。逆に、相続税のみにしたらどうでしょうか。一生懸命働いて親族等に残した財産のほとんどが、結局、相続税という税金だけで持っていかれてしまうとすれば、働く意欲の減退につながり、日本経済全体としての規模の縮小にもかかわってきます。 わが国の課税の公平性に対する考え方は、たくさん稼いでいる人からたくさんの税金を徴収し、あまり稼いでいない人はそれなりにというものです。このような徴収を可能にするために、先のグラフで示されているような多くの税目を取り揃え、安定的な歳入構造を構築するとともに、所得税や相続税には累進税率が採用されています。 累進税率とは、段階的に変化する税率のことで、たとえば所得税を例に取ると、所得額に応じて10%から37%の4段階に税率が設定されています。所得金額が330万円以下までは、税率10%が適用されますが、1,800万円を超えると37%が適用されます。このような累進税率を採用することによって、上述したような公平性を保つ一方、富裕層からそうでない人々に所得が再分配されているのです。収入や遺産に恵まれた人にはより多くの税金を納めてもらい、そうでない人へは、国家を介して公共サービス等の社会保障や福祉が提供されるといった具合です。要するに、累進税率を通じた所得の再分配を行うことによって、富裕層とそうでない人々との格差の拡大を抑え、社会の安定に寄与しているのです。 また、このような累進税率構造をもつ所得課税は、ビルト・イン・スタビライザーと呼ばれる景気を調整する機能を合わせ持っています。例えば、景気が悪化している時には、それだけ税金も少なくなるので、自動的に消費の減少を緩和して景気を刺激してくれます。逆に、景気が拡大している時には、それだけ税金も大きくなるので、消費の拡大を抑え、景気の加熱にブレーキをかけてくれます。つまり、経済の変動に応じて、経済安定化への補正的役割が自動的に果たされることにより、景気の安定化をはかることを可能にしているのです。そしてもちろん、直接的な増税や減税策を通じて物価や雇用の安定化をはかっていることは、周知のとおりです。
このような視点をもって税金というものを考えると、より税金に対する認識が増してくるのではないでしょうか。税金には、公共サービスの対価としての役割のほか、国家運営を安定的に行うための歳入構造の構築、一方では、所得の再分配、景気の安定化あるいは社会の安定という国家運営に欠かすことのできない重要な機能が内包されているのです。そして、もちろん「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」と日本国憲法第30条に規定されていることも付け加えておきます。
このように我々国民にとって重要な役割をもつ税金は、どのような形で徴収されているのでしょうか。税金の役割が理解できたところで、次に税金の納税方法を説明しましょう。 U 税金はどうやって納めるの? 税金をどのような方法で納めるのか、また、税金の納税義務がいつどのようなタイミングで発生するのかは、税金の種類によってまちまちです。納税方法を大きく分けると、@申告によって納税する方法、A賦課決定された税額をそのまま納税する方法、B納税義務が成立すると同時に税額が決まる印紙納付があります。 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税は@の申告納税による方法がとられますが、個人の住民税や事業税、自動車税、固定資産税等は、納税通知書によって通知されてくる税額をそのまま納めるAの方法がとられます。 何となく分かりづらいですね!?もうちょっと身近な税金に絞ってお話しましょう。 一般的なサラリーマンが納める税金は、所得税と住民税、自動車税くらいなものでしょう。サラリーマン等、毎月給与をもらっている人は、毎月の給与から源泉徴収と称して、所得税が引かれていると思います。そうです。給与をもらう度に天引きされている税金のことです。そして、年末頃になると年末調整が行われ、少し税金が戻ってきたりしていると思います。また、毎年2月頃になると、確定申告という言葉を耳にすると思います。さらに、6月頃になると、住民税の納税通知書が何の連絡もなく、自宅のポストに届いていることでしょう。またさらに、自動車等を所有している人は、4月頃に自動車税の納税通知書が届いていると思います。 多くの人々は、何の疑いもなく、とりあえず、給与から源泉所得税が天引きされ、住民税等にあってはぶつぶつ言いながらも送られてくる納税通知書の通りに、税金を納めていることと思います(会社によっては所得税だけでなく住民税も源泉徴収される場合がありますが、これについては次回詳しくお話します)。 基本的にわが国の税制は、申告納税の手続きを経ることで納税が完結するようになっています。つまり、納税者自身が暦年1年間の所得金額とそれに対する税額を計算して確定申告を行い、その申告に基づいて自主的に納付する仕組みです。しかし、上記で説明したような、ひとつの会社のみから給与をもらっているサラリーマン等の給与所得者は、源泉徴収・年末調整というシステムが存在していることによって、確定申告という手続きを経ることなく、納税に関する手続きはすべて完了してしまいます。 この源泉徴収・年末調整というシステムは、自ら申告しなくても自動的に会社がやってくれるため、非常に簡単かつ課税漏れがないというメリットがある一方、一般的なサラリーマンのほとんどは、申告するにあたって、自らの税金を計算する必要がないため、納税というものを実感していないというのが実情なのです。 実際、所得税収入の70〜80%が、確定申告ではなく、源泉徴収によって納税されていることからすると、納税というものを実感していない人がほとんどであることが分かります。しかし、このように確定申告をしたことのない人は、その手軽さゆえ、どういう計算の結果、税額が確定しているのかをよく理解していないものと思われます。 所得税の最高税率は前述したように37%です。これに地方税である住民税13%を加えると所得税と住民税で合計50%にも達してしまいます。一見、収入の半分も税金をもってかれるのか!?などと思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。税金は、まず収入から必要経費をマイナスした所得に対してかかります。その上、先に述べたような公平性の観点から、いろいろなおまけが用意されており、実際の収入よりも結構低いところで税率がかかる仕組みになっています。 端的に言えば、この必要経費とおまけがミソなのです。なぜなら、この必要経費とおまけを知っているか否かで驚くほど税額が変わってくるからです。 税金の計算は、このおまけの適用可否が、納税者個人の事情によって様々に異なってきますし、自分のライフスタイルに合わせてこのおまけを活用していくことも可能な場合があります。ですから、まずは、自分の税金がどのような方法によって計算されているかを知っておきましょう。自分の税金の計算は、どのようになされ、どのようなおまけが適用されているのかを把握した上で、どんな節税方法があるのかを知り、自分のライススタイルとも合わせて対策を立てていくことは、非常に有効なことです。
今回は、第一回ということで、少々理念的なお話をさせていただきました。次回は、サラリーマン等給与所得者を中心にした税制の仕組みと節税ポイントをお話したいと思います。しかし、税金の仕組みや節税のポイント等、テクニカルなお話しをする前に、納税に対する積極的な姿勢を持つことは、何よりも重要なことだということを理解していただけましたでしょうか。 |
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第2回目へ続く |
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