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<速読こそすべて>

きつねのイラスト速読こそすべて(11)


W 速読は万能ではない
 誤解される方がいらっしゃるといけないので、一つお断りしておきます。
 速読の技術を身につければ、どんな文章でも速く読めるようになる、というわけではありません。文庫本や新聞などの手軽な文章は速く読めますが、専門書などのお硬い文章は、文庫本や新聞ほど速くは読めません。ただ、お硬い文章も、速読をやらないころよりは速く読めるようになります。
 理由をご説明しましょう。
 速読により、なぜ速く読めるのか、それは、「早く理解できる」からです。アイ・スパンを訓練によって広げれば、それまで一度に1語しか理解できなかったのが、2語、3語を同時に理解できるようになります。これはとりもなおさず、「早く理解できる」ということです。早く理解できれば速く読めるのは当然です。
 3語を同時に視野に収めたとき、新聞や文庫本などの一般向けにわかりやすく書かれた文章ならば、ほとんどの場合あなたは、その3語すべての意味をよく知っているでしょう。よく知っている単語はすでにあなたのなかで「入力の完成」を迎えていますから、あなたは一瞬のうちに3語の意味とそのつながりを理解できます。一瞬で3語を理解し、またすぐ次の3語へ、という具合で、どんどん進んでいけるわけです。
 あなたが、初めて読む専門書ならどうでしょうか。3語の中にはあなたの見慣れない単語が、少なくとも1語はあることでしょう。あなたはその未知の単語の意味を、前後関係から類推しなければなりませんので、その分余計に時間がかかることになります。
 しかし、専門書がいくら難しいといっても、一応日本語で書かれてあるのですから、すべての単語を知らないということはありえません。知っている単語、つまりあなたなのなかで「入力の完成」を迎えている単語については速く理解できるので、「速読」の訓練を積まないよりは積んだほうが、全体的に速く読めることになります。
 それに、その分野の専門書をその後たくさん読んでいけば、専門用語についても、「入力の完成」が起き、最初のころより速く読めるようになってきます。
 これで理論編は終わりです。速読が頭を良くし、理解度を高め、あなたの「表現力」をも格段にアップさせる魔法の杖であることが、ご理解いただけたことと思います。
 一つ付け加えておくと、速読は日本でこそまだマイナーですが、アメリカでは大変盛んです。街のいたるところに速読学校がありますし、歴代の大統領はみな速読に取り組んでいます。あなたが英語が得意であれば、歴代大統領のスピーチ集を読んでみてください。誰でも理解できる平易な言葉しか用いていませんが、流れるようなリズムがあり、聴衆の心をひきけてやみません。官僚に答弁を書いてもらっている日本の政治家とは、次元が違うではありませんか。
 次章は、いよいよ実践編です。速読訓練のすべてをつまびらかにします。 

(おわり)


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