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どうすれば成功できるのか
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社労士をゴルフにたとえる
 前号では、「社労士は食えるのか」の究極の論点に取り組みました。
 結論としては、この質問自体がナンセンスであるということになりました。社労士資格はそれ自体では社会的にさほどの価値を持たないので、社労士の資格を持っているだけでめしが食えるほど、世の中は甘くはないわけです(これは社労士資格だけの問題ではありません。医者でも弁護士でも実は同じことです。現在は、消費者に選択権がある時代です。医者でござい、弁護士でございといばってみたところで、患者や顧客はやってきません。医術や弁護術を磨くのは当然ですが、それに加えて、“サービス精神”にあふれた医者や弁護士のみが生き残っていけるでしょう)。大切なことは、社労士としての専門知識を活かしつつ"商売"を成功させること、でしたよね。
 私はよく、社労士をゴルフにたとえます。仮にあなたがゴルフが大好きで、ぜひとも一流のプレーヤーになりたいと考えているとします。あなたはゴルフショップに行って最高級のクラブセットを購入しました。さて、これであなたは確実に一流プレーヤーになれるでしょうか。タイガーウッズと肩を並べるほどの選手になれるでしょうか。
 そんなことはありえない、とあなたはおっしゃるでしょう。でも、「社労士は食えるか」との質問は、これと同じではないですか。社労士は紛れもなく最高の道具ですが、最高の道具を持った人が全員一流プレーヤーになれる、すなわち、めしが食えるわけではないのです。
 しかし、一方で、「最高の道具を持たなければ一流の選手にはなれない」こともまた事実でしょう。ごく一部の例外を除いて、一流プレーヤーと呼ばれる人達はみんな、最高の道具を持っているものです。まず最高の道具を持ち、極限まで努力することで、一流プレーヤーへの道が開かれるのです。そう、最高の道具を持つことはあくまでも、"一流プレーヤーになる"との目的達成のための手段にすぎないのです。
 社労士でも同じことです。社労士という最高の道具を持たなければ、一流の社労士になること、社労士でめしを食うという目的もまた達成できません。
 あなたは、最高の道具はすでに手に入れているのですから、今度は"極限の努力"をすることを考えましょう。それは、「商売を成功させる方法」を考え実践することです。

<社労士とゴルフ>
手段 +極限の努力 目的
社労士 資格の取得 めしを食う
ゴルフ 高価な道具の購入 一流選手になる

商売で成功するために
 世の中のすべての会社が、「商売の成功」を究極の目標としています。売上げを増やし経費を絞り利益を極大化させることで、会社は継続的に存続・発展していけるのです。もちろん、商売を通じた社会貢献も会社の目的のひとつでしょうが、商売がうまくいかなければ会社そのものがつぶれてしまうのですから、何といっても、会社の第一の目標は「商売の成功」である理屈です。
 したがって、会社は日頃から営業活動を行います。ある程度の規模以上の会社であれば必ず営業部が存在しますし、小規模の会社でも、組織立てた営業部こそ存在しないかも知れませんが、社員一丸となって営業活動にいそしんでいることは変わりありません。
 現在営業部に籍を置いているか、以前長年に渡って営業部に所属していた方ならば、ご自分の営業力に自信を持っていることでしょう。将来社労士で独立開業したとしても、独力で営業活動を行い、顧客を獲得して成功できることでしょう。
 しかしあなたは、これまでの人生の中で営業部に籍を置いたことがないかもしれません。そんなあなたにしてみれば、「自分は経験がないから、営業なんかできるわけがない。となれば、社労士として開業しても、成功できるわけがないのだ」と考えてしまうかもしれません。
 本当にそうなのでしょうか。ここで、「営業力」というものについて、考えてみましょう。営業力とは、営業部に所属して特別な訓練を受けた人でなければ身につけることができないような、特殊な技術なのでしょうか。

営業は真心である
 営業とはモノを売ることですが、顧客の側から見ればモノを買うことです。モノを買うとは、財布を開けて、大切なお金を支払うということです。人はお金がなければ非常に困ります。好きなものを買えなくなるのは当然ですが、極端にお金がないと食べ物すら買うことができなくなってしまいます。ずっと食べることができなければ、それは死につながるわけですから、お金は人にとって、命の次に大切なものともいえるわけです(むろん"愛"も大切ですが、"愛"ではめしは食えません)。
 お金を支払うことは、命の次に大切なお金が自分の手許から離れて行ってしまうことですから、人がお金を払うときは、相当な覚悟が必要だということになります。
 まあ、そんな理屈めいたことを言わなくても、価値あるものを購入するとき以外は、人は財布を開けてお金を払うことをしないものです。 "営業を成功させる"とは、"顧客にお金を支払わせること"ですが、それはかなり大変なことであることがわかるでしょう。
 それでは、どうすれば、顧客は気持ち良く大切なお金を払ってくれるのでしょうか。
 ベラベラしゃべることでしょうか。営業というと、多くの人は、「立て板に水のごとくしゃべれなければいけない」と考えがちですが、それは違います。ベラベラしゃべるだけならば、オウムや九官鳥でもできます。ただおしゃべりなだけでは、とうてい顧客の心をつかむことはできません。実際、どちらかというと寡黙であっても、営業部に所属して良い営業成績を上げている人は、いくらでもいるものです。
 営業に大切なものは真心です。寡黙でも朴とつでもよいですから、誠意を持って顧客に接する心が顧客の安心感を呼び、ひいては財布の紐を緩めさせるのです。
 真心は何から生まれるのでしょうか。それは以下の7点に集約されるでしょう。

<営業力強化7ヶ条>
1 商品知識があること
2 商品に自信を持っていること
3 顧客の立場に立ってものを考えること
4 顧客の役に立ちたいと心から願うこと
5 顧客の目を見て話すこと
6 誉め上手になること
7 日本語がうまいこと

 おのおの解説します。
1、商品知識があること
 営業とは、モノ(商品)を売ることです。顧客は、その商品を「良い」と認めたときにはじめてお金を払うのですから、あなたは、その商品の良さを顧客に説明しなければなりません。となれば、商品知識の豊富さは、どうしても必要ということになります。
 開業社労士の商品は「専門知識」です。社会保険労務士という専門家として営業に臨むのですから、専門家として恥ずかしくないだけの専門知識は当然身につけていなければなりません。「試験に合格したのだから、それでいいじゃないか」とあなたはおっしゃるかも知れませんが、次の3つの理由により、それでは足りません。
  1. 試験の知識は理論だけであり、いわば机上の空論である。もちろん試験の知識が基礎にはなるが、その上に実務的なノウハウを乗せなければ、本当に使える知識にはならない。
  2. 試験を受けたときは豊富な知識があったかもしれないが、人間の記憶力は貧弱なので、しばらくすると忘れてしまう。
  3. 社労士の専門分野は法改正が多いので、常に知識をリバイスしておかなければならない。
 まとめれば、現在のあなたの知識ではまだまだ不足ですし、ちょっと油断すると、その底の浅い知識ですらあっという間に忘却のかなたに飛んで行ってしまう、ということなのです。日頃から、専門書などを多く読んだり法改正のフォローに気を使ったりして、あなたの大事な商品である専門知識を錆つかせないようにしましょう。

2、商品に自信を持っていること
 これは1の「商品知識がある」にもつながることです。というより、1があって始めて生まれるものと言ってもよいでしょう。
 顧客に大切なお金を払わせるには、その商品の良さを顧客に納得させなければなりません。あなた自身が「この商品は良い」と信じていない限り、顧客を納得させることはできません。なぜなら、人間は内心で思っていることが、どうしても態度に出てしまうものだからです。わかりやすく言えば、いくらあなたが表面的に取り繕ったつもりでも、嘘は必ず態度に表れるので相手にばれる、ということなのです。
 商品である専門知識を日頃から磨き、顧客に自信を持って薦めることができるようにしておきましょう。

3、顧客の立場に立ってものを考えること
 常に、顧客になったつもりでものを考える習慣をつけましょう。一方的なサービスは真のサービスとは言えず、相手が何をして欲しいのかを常に見極めた上で行動する姿勢が必要です。そのためには、相手の立場に立って考えるのが一番なのです。
 「かゆいところに手が届く対応」をしてくれると、顧客は「財布の紐を緩めてもいいかな」という気になるものです。

4、顧客の役に立ちたいと心から願うこと
 このポイントは、言われてみればあたりまえのことですが、意外と忘れられがちです。顧客の役に立ちたいと心から願うことで、あなたのサービスは質の高いものとなり、顧客も大きな喜びを得ることができます。商売と聞くと、顧客の気持ちを無視して、目先の利益のみを追求する人がいますが、それでは真の成功は得られません。

5、顧客の目を見て話すこと
 私は、サラリーマン時代営業職にありました。私が所属していた営業部の営業社員の中でも、営業成績が良い人と悪い人がいました。彼らの違いはどこにあるのだろうと、私はいろいろと観察したものです。その結果わかったことは、「相手の目を見て話す人は営業成績が良くて、見ない人は悪い」でした。もちろん100%というわけではありませんが、かなりの確率でこの法則があてはまったのです。
 「目は口ほどにものを言う」といいます。アイコンタクトを通じてはじめて、あなたの中にある商品に対する自信やサービス精神が相手に伝わります。相手の目を見ない人は、「陰にこもった暗い人で、商品に対する自信もない」と判断されてもしかたがないのではないでしょうか。

6、誉め上手になること
 見え透いたお世辞とわかっていても、誉められて悪い気がする人はいないものです。あなたの目的は、顧客に良い気持ちになってもらって財布の紐を緩めてもらうことなのですから、せいぜい誉め上手になって、相手を誉めちぎりましょう。もちろん、度が過ぎると嫌みになってしまいますので、要注意。

7、日本語がうまいこと
 営業マンとしてのあなたは、日本語がうまくなければいけません。誤解しないでください。「日本語がうまい」とは、「ベラベラしゃべること」と同じ意味ではありません。「時に応じて適切な日本語を論理的に話すことができる能力」のことです。
 例として、あなた(顧客)が車の営業マンと話をしているとします。彼は一所懸命新車種について説明をしていますが、日本語が下手なために、何を言っているのかさっぱりわかりません。結局あなたは、新車種の長所や短所について明確に知ることができないわけです。そんな状態であなたは、財布を開いてその車を購入するでしょうか。
 コミュニケーションの手段としての日本語の力を磨くことも、良い営業マンになるためには必要なことなのです。
 日本語を磨く方法は、まず多くの日本語に触れることです。専門分野以外でも、多くの本を読みましょう。私は、速読を推奨しています。速読とは多くの本を読むことなので、日本語の力を磨き、情報量を多くするのに最適に技術なのです。詳細は、拙著「社労士学習が10倍速くなる独学速読法」(住宅新報社)をお読みください。

 以上、営業力強化7ヶ条を見てきました。言われてみればすべてあたりまえのことなのに、日頃はなかなか気がつかないものですよね。最後に、7カ条をあえて一つに集約しましょう。営業で成功する秘訣、それは、「顧客に気持ち良くなってもらう」ことです。
 あなたという営業マンと接したことで気持ち良くなれたとき、顧客ははじめて金を払います。自分が販売している商品に絶対の自信を持つ営業マンが、良い日本語で常に自分の立場を考慮しながら懇切丁寧に説明してくれると、人は気分よくなり、お金を払うものなのです。
 いかがでしょうか。営業なんて、実はちっとも難しいものではないことがおわかりいただけたでしょう。企業の営業部に何年も勤務しなければ良い営業マンにはなれない、というものでは決してないのです。要は、真心を持って顧客に接し、「常に良い営業マンでありたい」と考えて努力することが大切です。
 世の中には、良い営業マンが極端に少ない事実に、私はよく驚かされます。あなたもたとえば、たまたま入ったレストランのウェイトレスの接客マナーの悪さに腹が立ったご経験をお持ちでしょう。いかに料理がおいしかったとしても、「またあの店に行きたいな」とはあなたは思わないはずです。
 彼女の仕事は、マナー良く接客することで、顧客に気持ち良くなってもらうことです。そのためには、常に顧客の立場になってものを考え、ニコニコ愛想良く接することが必要なのです。でも彼女はそれを怠った。結果、あなたに「またあの店に行こう」と思わせることができなかったのですから、彼女の商売は失敗であった、と結論づけることができます。まあ、彼女がアルバイトであって店長でないのであれば、そこまで期待する方が間違っているのかもしれませんが…。
 こんな例は枚挙に暇がないものと思います。世の中には、これだけ商売が下手な人があふれているのですから、あなたが今号でご紹介した「営業力強化7ヶ条」を守りさえすれば、すぐに優秀な営業マンになれること請け合いです。
 今号の結論です。「社労士として成功するために、企業での営業経験など必要ない」

その(10)に続く

現在の真島からちょっと補足
 今号では、改めて追加することは何もありません。私の考えは、当時とまったく変っていないからです。
 営業力こそ生き残るための唯一無二の武器である!

 ※速読の項でもご案内してありますが、「社労士資格が10倍速くなる独学速読法」は絶版となっております。悪しからずご了承ください。


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