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どうすれば成功できるのか
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 前号までは、私自身のことをお話ししてきました。これから開業社労士として羽ばたこうとお考えのあなたに、いくらかでも参考になれば幸いです。
 今号からはあなたの話です。あなたがいざ開業しようとするときに、実際どうすればよいのか、の具体論を展開していきます。
 とはいっても、商売の形態は人それぞれ。私はここで、「あなたはこうするべきだ!」などと、あなたの未来を型にはめてしまう気は毛頭ありません。私の考え得る範囲で、あなたの将来の可能性を、いろいろと模索してみようと思うのです。「考えること」からすべてが始まります。ちょっと立ち止まって、あなたの未来を一緒に夢見てみましょう。

まずは事務的な話から
 夢を見る前に、どうしても片づけておかなければならない事務手続きを、先にやっつけてしまいましょう。

1)登録はどうする
 あなたは社労士試験に合格した、との前提にします。あなたが2年以上の実務経験があれば、すぐにでも開業社労士になることができます。実務経験とは、次のようなものを指します。
@社労士事務所勤務
A企業の人事部、総務部勤務で、労働・社会保険の手続業務に携わった
B厚生年金基金、健康保険組合勤務
 なお、2年以上の実務経験は、社労士試験受験前でも後でも、試験日をまたがっていてもかまいません。とにかく、社労士試験合格に加え、2年以上の実務経験があればよいのです。
 実務経験がない方は、7月号で説明した全国社会保険労務士会連合会が行う研修を受ければ、「2年以上の実務経験」と同等とみなされます。研修の案内は、試験に合格すると、黙っていても送付されてきます。
 開業社労士になるには、以上の条件を満たしたうえで、全国社会保険労務士会連合会の名簿にあなたの名前を登録しなければなりません。具体的な手続きは、事務所の所在する都道府県の社会保険労務士会に赴いて行います。持参するものは、以下のとおりです。
@試験に合格したときに送付された登録用紙
A合格証書の写し
B戸籍抄本(外国人は、外国人登録を証明する書類)
C住民票の写し(3カ月以内に交付されたもの)
D写真3枚(顔写真。3カ月以内に撮影したもの)
 登録の際に登録免許税や登録手数料として5万円の現金(登録免許税の3万円は収入印紙可)が必要です。さらに登録社労士会への入会となりますので(法律上強制入会)、入会金と年会費もかかります。年会費は、都道府県によって異なりますが、東京会では、入会金3万円、年会費9万6,000円です(ちなみに、勤務社労士としての登録なら、入会金2万円、年会費4万2,000円です)。
 いくらかお金はかかりますが、会社を興して在庫を抱えた商売を始めることを考えれば、気楽に開業社労士になれることが分かります。そう、開業社労士になること自体はたやすいのです。大変なのは、「開業社労士を続けること」です。

<開業までのプロセス>
開業までのプロセス

 そうそう、忘れてはならないことは、登録に赴く前に、事務所名を考えておかなければならないことです。開業社労士として登録する際には、事務所を構えなければなりません。事務所と聞くと、なんとなく大げさで、「どうしよう、お金もたくさんかかりそうだし、そもそも良い物件があるかしら」などとお考えかもしれませんが、そんな心配はいりません。自宅を事務所登録してもよいですし、アパート住まいの方は、そのアパートを事務所にしてもよいのです。
 ただ、登録に行ったときに、その場で書類に事務所名を記載することを求められます。ずっと使用する事務所名なので、いきなり言われるとどうしても焦ってしまうものです。実は私も失敗した口で、事前情報もなく登録に行きましたので、担当の方に突然言われてどぎまぎし、結局「真島社会保険労務士事務所」などという長ったらしい名称にしてしまいました。もちろん、後で変更も可能なのですが、どうせなら、事前に考えて行くのが賢いやり方というものでしょう。
 では、どういう事務所名にしたらよいかですが、いろいろな候補の中から、あなたが気に入ったものを選んでいただければ良いのです。参考までに、私の知り合いの社労士が実際に使用している事務所名を、いくつか挙げておきます。

<よくある事務所名>
事務所名
○○労務管理事務所 鈴木労務管理事務所
○○労務経営事務所 山田労務経営事務所
○○経営労務研究所 斉藤経営労務研究所
○○事務所 大田事務所
オフィス○○ オフイス伊藤
OFFICE○○ OFFICE山本

2)開業案内を出そう
 あなたは、登録を済ませました。今日から晴れて開業社労士です。これからは、正々堂々と顧客からお金をいただいて、社労士としての業務を行えるのです。嬉しい気持ちは分かりますが、いつまでも感動に浸り切っていないで、これからの商売のことを具体的に考えましょう
 最初に準備すべきは、「開業案内」です。いや、本来なら、開業登録の前から準備しておいて、登録と同時に発送できるようにしておくのが望ましいでしょう。商売は人と人とのつながりがすべてです。成功している開業社労士の多くが、「サラリーマン時代の人脈から仕事を開拓していった」ということからも、それが分かります。
 自分で商売を始めるとなると、とかく「何でも自分一人でやらなくては」と考える人がいますが、その考え方は根本から間違っていると言い切っても良いでしょう。確かに、開業すればあなたは社長兼平社員ですから、企画、立案、営業などの業務をすべて一人でこなさなければなりません。でも、だからと言って、商売の成功は、あなたひとりの力で成し得るものではありません。いろいろな人たちに助けられながら着実に歩んでいってこそ、真の成功が得られるのです。人間関係をおろそかにしては、あなたは一歩たりとも前に進むことはできないでしょう。
 お世話になった(これからもお世話になるであろう)方々への感謝の気持ちを込めた開業案内を作成しましょう。印刷は印刷業者に任せるにしても、文面まで任せ切りにするのはやめて、あなた自身が筆を執って考えましょう。さほど体裁にこだわる必要はありません。これまでのご厚意に対する感謝の気持ちと、未来に向けてのあなたの強い決意が伝わればそれでよいのです。
 最近は、ハガキで出す人が増えてきたようですが、個人的意見としては、封書にすべきだと思います。封書とハガキでは、受け取った方の印象の度合いが違うからです。ハガキだと、「安く済ませたな」と思われても仕方がないのではないでしょうか。

<開業案内の心得>
開業登録の前から準備しよう。
文面は自分で考える(人とのつながりがすべて)。
できれば封書で。
できるだけ多くの人に送付する。

3)必要な備品は
開業社労士として商売をする以上、文房具などの備品も必要です。開業の際、最低限揃えておくべき備品を挙げてみましょう。
<開業社労士必須アイテム>
  必須アイテム 重要度   必須アイテム 重要度
仕事部屋 ☆☆☆ 書籍 ☆☆☆
☆☆☆ 名刺 ☆☆☆
電話 ☆☆☆ ☆☆
ファックス ☆☆☆ 10 事務所印 ☆☆
携帯電話 ☆☆☆ 11 封筒、便箋
パソコン ☆☆☆                
※重要度の意味
 ☆☆☆:絶対必要 ☆☆:できるだけあったほうがよい
 ☆:できればあったほうがよい

1 仕事部屋
 最初から専用の事務所を持つのなら問題ないのですが、自宅を事務所登録するような場合は、仕事部屋を確保することが必要です。自宅で仕事をしていると、どうしても気分がだらけがちです。専用の仕事部屋を持って、「この部屋が自分の事務所なのだ」との認識を持ちましょう。仕事部屋は仕事をする場所であってだらける場所ではない、との自覚を持つことができるはずです。
 さらに、スペースの問題もありますが、できれば応接室は確保したいところです。来客があっても、キッチンのテーブルで応対では、かっこ悪いからです。
2 机
 なかにはキッチンテーブルと兼用の開業社労士もいるそうですが、感心できません。商売とは「顧客のために尽くす」ことですから、そこには自ずと真摯な心構えが要求されます。自らの気持ちを律するためにも、専用の机を購入するべきでしょう。何も高価なものを購入する必要はなく、あなた専用のものであれば良いのです。
3 電話
 電話は、今さら言うまでもなく必需品です。電話もなしに商売ができるわけはありません。あなたが留守の間に家人が電話を取ってくれるのならよいのですが、あなたがひとり暮らしの場合や、そうでなくても家人も留守がちの場合は、転送機能を利用しましょう。あなたの事務所にかかって来た電話を、自動的にあなたの携帯電話に転送する機能です。これなら、いついかなるときでも電話に出ることができます。
 留守番電話機能をオンにしておけば良いではないかとの声も聞こえて来そうですが、これは危険です。なぜなら、世の中には、「留守電が苦手」という人がいるからです。自分の声がテープに取られるのがどうしても嫌という気持ちも、分かるような気もします。場合によってあなたは、かなりの儲け話を逃がしてしまうかも知れません。
4 ファックス
 ファックスも、電話と同等に位置づけられる必需品です。現在、ファックスを持っていない方は、「ファックスはなくてもそんなに困らないよ」とお思いかも知れませんが、そんな方は、根本から考え方を改める必要があります。
 商売に成功するには、常に顧客の立場に立って考える姿勢が必要です。ファックスにしても、なくてもあなたはさして困らないかも知れませんが、あなたの顧客が大いに困るのです。自分本位では、商売の成功は望めません。気持ちを引き締めていきましょう。
5 携帯電話
 一昔前ならいざ知らず、いまや携帯電話も必需品です。ファックスと同じ理屈で、なくてもあなたは困らないかも知れませんが、あなたの顧客が困るのです。
6 パソコン
 パソコンも必需品の時代になりました。得意先へ提出する文書は手書きというわけにはいきませんので最低限ワープロは必要ですが、後々のことを考えれば、単なるワープロ専用機よりも、機能が豊富なパソコンを購入した方が良いでしょう。パソコンは値段が高いというイメージがありますが、今はだいぶ安くなって、20万円も出せば、けっこう良いものが買えます。商売の必須アイテムなのですから、あまりケチケチせずに購入しましょう。
7 書籍
 これはもう絶対に必要です。開業社労士としてのあなたの商品は、「専門知識」です。貴重な商品を風化させてしまっては、商売に成功できるわけがありません。特に社労士関係の専門知識は法改正が多く、ちょっと勉強を怠ると、あっという間に浦島太郎になってしまいます。足しげく書店に通うようにして、役に立ちそうな本があったら迷わず購入して目を通しましょう。「書籍に使う金を惜しんだら、社労士として成功できない」と考えるくらいでちょうどよいのです。
8 名刺
 名刺も言うまでもなく必要です。印刷業者に頼んでも良いのですが、パソコンの名刺作成ソフトで作成する手もあります。あなたならではの、意匠を凝らした名刺を作成してください。
9 車
 車の必要性は、今さら言うまでもないでしょう。都会なら電車もバスもありますから場合によっては必要ないかも知れませんが、地方で開業するのなら、車はあるとかなり便利です。
 では、運転免許がない人は開業できないのかというと、そんなことはありません。開業社労士に後ろ向きの発想はタブーです。常に前向きに打開策を考えていきましょう。車がダメなら、自転車という手があります。自転車も乗れなければ、2本の足があります。日本中どこだって、歩いて行けない場所はないのです。気力と体力さえあれば、やってできないことなどないはずです。気力は気持ちの持ちよう一つですし、体力は一念発起してエクササイズにいそしめば、手に入れることができます。あきらめてはいけません。成功した開業社労士は、例外なく、強い意志力を持っているものです。
10 事務所印
 封筒や書類に押すのに使います。住所、事務所名、電話番号、ファックス番号、Eメールアドレス、あなたの名前などを入れて、印鑑ショップで作成してもらいます。縦横の2種類作っておくと良いでしょう。
11 封筒
 DM送付や顧客への書類送付などに使います。封書サイズ、B5サイズ、A4サイズの3種類くらいは用意しておいた方がいいでしょう。住所や事務所名などを印刷業者に頼んで印刷してもらいます。当分事務所移転の予定がなければ、まとめて注文すると安くなります。

 以上は、最低限必要なものばかりです。それ以外にも、あなたが必要とする範囲で揃えましょう。コピー機やシュレッダー機なども、ないよりはあった方がいいですよね(コピー機に関して言えば、開業の初期の初期は、コンビニのコピー機で済ませる手もあります。顧客が増えてきたら、あなた専用のコピー機を購入もしくはリースすれば良いでしょう)。

その(7)に続く

現在の真島からちょっと補足
 成功するための方法論や心構えはもちろん重要ですが、事務手続きなどの「やるべきこと」をきちんと済ませておくことを怠ってはいけません。千里の道も一歩からですから、まずは足固めといきましょう。
 なお、登録にかかる費用等は、この連載が不動産受験新報に掲載された当時のものですので、直近の額は各自確認してください。


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