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どうすれば成功できるのか
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4号業務
(1)4号業務があってもいい
 引き続き、私自身のことをお話しします。前号では、1・2号業務と3号業務のご説明をしましたね。今号は4号業務の話です。
 「えっ、4号業務なんて聞いたことないぞ」とお思いでしょうが、それは当然で、"4号業務"は私の造語です。
 社労士法は、社労士の業務を1・2・3号業務と定義づけていますが、だからといって、それ以外の業務を行ってはいけない、とはいっていません。法律的に言えば例示列挙であって、1.2.3号業務はあくまでも例に過ぎないのです。したがって、社労士法に書いてある業務以外の業務を行ったって、別にかまわないことになります。1・2・3号業務以外の業務のことを、私は勝手に4号業務と呼んでいるのです。
 4号業務にも、いろいろな種類があり、たとえば下表のような業務です。

<4号業務の例>
1 受験指導
2 書籍執筆
3 新聞・雑誌の記事執筆
4 講演
5 企業研修

 一つ一つ簡単に解説しておきましょう。
@受験指導
 ご存知のように、社労士試験は合格率8%の難関資格です。多くの受験生が独学での合格は難しいことを知っているので、専門学校の門をたたきます。開業社労士が特定の専門学校と契約して、その学校の「社労士試験受験講座」の講師をしたり、ときにテキスト執筆、答案練習講座用の問題作成などを行います。
 受験生は皆必死ですから、この仕事は本当に大変ですが、その分やりがいも抜群です。収入面でも、人気講師となれば、この仕事のみで十分に食べていけます。また、中には雇われ講師ではなく、自分で学校を開設してしまう人もいます。

A書籍執筆
 社労士は、実に専門分野が広い資格です。労働法、労務管理、医療保険、年金保険、介護保険、企業年金などであり、これだけ幅広い資格は他にはないでしょう。また、そのすべてが、近年の少子・高齢化の進展により、注目を浴びている分野でもあります。
 したがって、社労士はいろいろな分野で本が書けます。本を書けば、収入面でももちろんですが、それ以上に名前を売る効果があります。名前さえ売れれば、仕事は向こうからやって来るものです。書籍執筆には、社労士試験用の受験図書執筆も含まれます。

B新聞・雑誌の記事執筆
 書籍執筆と同じ理屈により、最近の雑誌や新聞には、社労士の専門分野に関する記事が氾濫しています。当然、執筆は専門家である社労士が行うわけです。
 報酬面ではさほど期待できませんが、雑誌や新聞は発行部数が多いので、名前を売る効果は書籍執筆以上です。
C講演
 あなたも新聞や雑誌などで、「講演開催のご案内」をご覧になったことがあるでしょう。講演のテーマは実にさまざまであり、ときには、社労士の専門分野での講演会が開かれることがあります。その講師の仕事です。
 時間は1時間半から2時間程度が一般的ですが、報酬はかなり高く、少なくとも10万円くらいは取れると考えてよいでしょう(人によってだいぶ違います)。

D企業研修
 多くの企業が社内教育訓練を実施します。その講師の仕事を開業社労士が請け負って行います。もちろん社労士の専門知識を生かしてとの話になるでしょうから、もっとも需要が多いのは、「新任管理職研修」です。人を使う立場になり立ての人たちに、「法律をベースにした部下の使い方」を教えます。
 報酬は、時間当たり5,000円程度が最低ラインでしょうか。講演と同じく人によって違いますので、1日で20〜30万円取る人もいます

 以上はあくまでも例であって、他にも金融機関での年金相談員や大学講師などの仕事も考えられます。
 これまで誰も思いつかなかったすき間的業務もあるでしょうし、時代の変化の中から新たに生まれてくる業務もあることでしょう(今なら介護保険が狙い目ですよね)。法律が勝手に決めた1・2・3号業務だけに限定するのではなく、柔軟思考で新しい業務を模索していく姿勢が必要です。

<1.2.3号業務と4号業務の違い>
         相手先
1.2.3号業務 企業
4号業務 いろいろ(受験生個人であったり、全国の読者であったりする)

(2)私と4号業務
@他の仕事もやりたい
 開業して3年ほどたつと、受験講師の仕事にもある程度慣れ、1・2号業務の契約先もいくつかできて、私も少し気持ちにゆとりができてきました。根がわがままな私は、「そろそろ別の仕事もしてみたいな」と思うようになったのです。

A何としても本を書いてやる
 最初に思いついたのが書籍の執筆です。情報収集のために書店には開業当時からしょっちゅう通っていましたので、社労士で本を書いている人は結構多いという事実は知っていました。「本を書くなんて、何てかっこいいんだろう」と思い、どうしても自分も書いてみたくなったのです。もともと本を読むのが好きでしたし、経済研究所勤務のときは定期刊行物に記事を執筆していましたので、文章力にも自信がありました。傲慢な私は、「よし、絶対に本を書いてやるぞ」と心に決めたのです。
 とはいっても、カネもコネも実務経験も何もなく開業した人間ですから、出版社につてなどあるはずもありません。普通ならそこであきらめてしまうところでしょうが、恐れを知らない私は(時と場合によって善し悪しですよね)、「どうにか方法はないものか」と必死になって考えました。「コネのない自分に、どうしたら出版社が本を書かせてくれるだろうか」と、ない知恵を絞ることから始めたのです。
 いろいろ考えた末に、たどり着いた結論は単純明解なものでした。
「出版社が儲かる本を書ければ良い」
 出版社の目的は何でしょうか。それは"商売"です。出版社も会社である以上、本を出版して少しでも多く売ることによってお金を稼ぐという、"商売"が目的であるはずです。それならば、"出版社に儲けていただく"、すなわち"売れる"本が書けさえすれば、コネなどなくともきっと出版社は本を書かせてくれるに違いない、と考えたのです。

<出版社の目的>
出版社の目的

 それから1カ月くらいは、そのことばかり考えていました。そして、ある日ふと良い企画を思いついたのです。「これはいけそうだ!」思いついた瞬間、思わずその場で飛び上がったことを憶えています(企画の内容については、企業秘密なので、ご勘弁ください)。
 企画さえ思いつけば、もうこっちのものです。後は企画の内容を、出版社に知ってもらえばいいだけです。原稿持ち込みも考えましたが、「持ち込みはきっと門前払いされるだろう」との予感がありましたので、実行しませんでした(予感だけで決めつけてしまい実行に移さなかったことを、今は反省しています)。
 そこで私が考えた手は、「企画書」を作成して、出版社に郵送することでした。「いきなり押しかけてもきっと会ってくれないだろうが、郵便物ならば、とりあえず中身を見てもらえるに違いない。編集者に見てさえもらえればこっちのものだ」と考えたのです。
 企画書の内容を練るのに、また1カ月を費やしました。書籍の出版という夢がかなうか否かを決定づける大切な大切な企画書なのですから、当然のことです。
 結局、ワープロで10ページ程度の企画書を作成し、表紙をつけて、書店でピックアップしためぼしい出版社4社に送りました。ちなみに、企画書を作成するときに、いわゆる"企画書の書き方"的なノウハウ本は一切読まず、完全に我流で作成しました。人のマネをしたってどうせ良いものなどできないだろう、と考えたからであり、また、大切なのは体裁ではなく、「これは絶対に売れる企画なんだ」との強い想いが読む人に伝わればそれでいいだろう、と思ったからでもあります。
 このときの私の心境を、ありのままにお話ししておきましょう。企画の内容には自信がありました。これだけの企画に飛びつかない出版社はばかだ、との思いもありました。でもそれは、あくまでも理屈の上での話であって、私の心を支配していたのは、「どうせだめに決まってる」との消極思考でした。
 「絶対本を書いてやる」と自分自身に誓った私でしたが、本を書くなどというだいそれたことを自分がやっている姿は、どうしても想像できませんでした。矛盾と思われるかも知れませんが、実はちっとも矛盾ではありません。自分の思うとおりにばかり世の中が動かないことくらいは、いかに傲慢な私でも知っているからです。
 結果はどう出たか。開けてびっくり玉手箱、浦島太郎もこれほどは驚かなかったろうほどの驚きが私を襲いました。何と、4社中3社からご連絡を頂き、「ぜひ出版したい」との涙が出るほど嬉しいお言葉を頂いたのです。
 各社の編集担当者と何度か打合わせの機会を持たせていただきましたが、最終的に「こう書房」にお世話になることにしました。そして、ついに念願の処女作「年金のもらい方便利事典」が平成9年8月に出版されたのです。事情があって、当初の私の企画とは異なったテーマとなりましたが、年金は得意分野の一つでしたので、楽しく執筆することができ、私としても自信作でした。書店で自分の名前が入った本が並んでいるのを見つけたときの、あの嬉しさは言葉では尽くせません。「これで明日死んだって後悔はない」などと思ったものです。
 さらにまた大変嬉しいことに、この本がよく売れ、版を重ねることができました。こう書房とは、その後もよい関係が続いています。

<真島流企画書の全貌>
ページ数 10ページ程度
表紙 文房具屋に行くと表紙を売っている
内容の項目 提案 2〜3行で、「これこれこういうタイトルでいくらぐらいの本を出版する」と書く。
趣旨 企画本を出版したい理由。絶対売れると思わせなきゃダメ。
競合本との差別化 同趣旨の本がすでに出版されている場合は、違いを明確に書く。
目次 できるだけ具体的に
内容見本 これがいちばん大事。3〜4枚でいいので、精魂こめて書くこと。

B企画書に凝った。
 この成功に気をよくした私は、それから企画書を送るのが癖になりました。何度か送るうちに、私はある事実を認識するに至りました。それは、世の中の人たちが考えるほど、出版社の敷居は高くないということです。なぜなら、私が送る企画書に、多くの出版社が興味を示してくれたからです。
 私自身もそうでしたが、多くの人は、「どうせ出版社が自分なんかに本を書かせてくれるはずはない」と考えています。これを"思い込み"と言います。思い込みは思い込みであって証拠は一切ないにもかかわらず、不思議なことに多くの人が自分の勝手な思い込みを事実と誤認してしまっています。「ひょっとしたら自分の思い込みは間違っているのではないか。事実は違うのではないか」と疑うことすらしないのです。
 今の私は自身を持って断言できます。「コネのない人間には出版社は本を書かせてくれない」という噂噂は、まったくのデマです。出版社の目的は"商売"であり、売れる本を書ける人であれば、誰にでも書かせてくれます
 この頃から私は、自分自身にほんの少しだけ自信が持てるようになりました。また、「開業とはつまるところ"商売"をすることなんだ」との発想を持つようにもなりました。"商売"の件については、また別の号で詳しくお話しすることにします。
 現在の私は、何社かの出版社とおつき合いさせていただいています。実は、住宅新報社とのおつき合いも、私が送った一通の企画書から始まっています。その企画書は、「年金がアッという間にわかる本」となり、この本が売れたおかげで、住宅新報社とのおつき合いは深くなりました。今は「わかる社労士シリーズ」を中心として十数冊の本を書かせていただいてますし、社労士試験受験講座の講師も務めさせていただいています。

<住宅新報社とのおつき合い>
住宅新報社とのおつき合い

(3)積極思考でいこう
 士業に、「どうせダメに決まってる」的な消極思考は禁物です。最初からあきらめて実行に移さなければ、成功の可能性はゼロなのです。「ひょっとしたらうまくいくかもしれない。ダメ元でやってみよう」との積極思考が、成功を生む秘訣です。

その(5)に続く

現在の真島からちょっと補足
 4号業務に関する私の考え方は、現在も変わっていません。「社労士はこうあるべきだ」とか「社労士の仕事はこういうものである」との既成概念に支配されてしまっている人が多いように思います。
 成功するための可能性として、「競争率」を考えてみましょう。誰もがやっている仕事をやれば、その道での競争率は当然高くなります。成功するためには、かなりの努力が必要となるでしょう。一方、誰もやらない業務であれば、競争率は低く、成功の確率も高くなります。「人がやらない自分の専門分野」を見つけ、その道で精進することが、成功の一つの秘訣といえるように思います。
 

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