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どうすれば成功できるのか
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受験指導以外の仕事
 前号では、私の受験勉強時代のことと、受験講師としての仕事との"出会い"についてご説明しました。今号では、私自身の"受験講師以外の仕事"のことをお話しします。
 私は、合格後すぐに受験指導の仕事ができるという、大変な幸運に恵まれました。受験講師を始めたのが平成6年5月で、しばらくは会社員との2足のわらじを履いていたのですが、全国社会保険労務士会連合会の研修が終わって登録が可能になると、すぐに(8月)会社を辞めて開業登録をしたことは、前号で書いた通りです。
 開業登録をしたと言っても、コネも何もなく「とにかくやるぞ」との一念だけで開業届を出した人間ですから、いわゆる1・2号業務(手続業務)の顧客数はゼロでした。
 本来なら、開業後すぐに飛び込み訪問やDM送付などの営業活動にいそしむのでしょうが、私の場合は、毎日が受験講師の仕事の予習で必死で、とてもそこまで手が回りませんでした。なにせ、毎日毎日深夜まで、ときには明け方まで講義の予習ばかりしているのですから、他のことをやる余裕など一切ないわけです。
 それに私の中で、「講師として一人前になるまでは、他のことはやらない」との気持ちもありました。私は生来器用な方ではありません。2つ、3つのことを同時に一人前にこなす能力がないことは、自分が一番よくわかっていたのです。
 受験指導の仕事は、とにかく大変です。なぜなら、受講生の方々は皆必死だからです。受講生の必死な気持ちに、講師も応えなければなりません。受験指導を始めて間もない私が、その仕事に専念せずに他のことに手を出したりしたら、受験指導の仕事もおろそかになってしまう可能性があります。いや、可能性という言い方は適当ではなく、私にはその自信があったのです。
 1年くらいは、受験指導の仕事に専念しました。受験講師としてはまだ駆け出しの私ですから、収入面では心もとないものでしたが、充実感は満点でした。ずっとあこがれていた職業に就けたのですから、毎日が最高に楽しくて、まだ駆け出しのくせに、「この道を選んで良かった」などと、生意気なことを考えていたものです。収入は、最低限の生活ができるだけあればそれで良かったのです。
 1年経つ頃には、受験指導の仕事にもある程度慣れ(今でも、完全に慣れたとは言えません)、少しずつ余裕ができてきました。そして、「他の仕事もやってみたい」と考えるようになったのです。

私の開業一年目
私の開業一年目

企業相手の仕事
 社労士の仕事には、大きく分けて1.2号業務と3号業務があります。受験勉強を始めて間がない方は、そう言われてもピンと来ないでしょうから、ここで解説しておきましょう。
 社会保険労務士法という法律があります。社労士は「こうあるべきだ」とか、「こんなことをしてはいけない」といったことが書かれてある法律で、社労士試験でも"社会保険に関する一般常識"の範囲に入っています。
 この法律の2条という条文の1号、2号、3号という枝番に、社労士の仕事の定義があります。1号・2号に書かれてある業務を「手続業務」といい、俗に"1・2号業務"と呼ばれ、3号に書かれてある業務を「相談・指導業務」といい、俗に"3号業務"と呼ばれます。

社労士法が定義づける社労士の仕事
業務の種類 俗称 記載条文
手続業務 1・2号業務 法2条1項1・2号
相談・指導業務 3号業務 法2条1項3号

1)1・2号業務
 主に中小企業と定期契約(月々の契約料を頂く)を結び、その企業の労働・社会保険の手続きを代行します。会社は労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険などの労働・社会保険に加入していて、人を雇ったときや人が辞めたときなどに、資格取得届や資格喪失届などの役所への提出という手続きが必要となります。この、書類の記入や役所への提出などの"手続き"を、事業主に代わって行う仕事です。
 小さな会社でも月々2〜3万円程度の契約料(業界では"顧問料"といいます。契約先のことを"顧問先"といいます)が取れますので、30〜40件の契約先ができれば、年収1千万円程度となり、生活が安定します。
 この業務は法律の保護があり、社労士でない人が報酬を得て行ってはいけません。

2)3号業務
 やはり対象は企業で、その企業の人事・労務関係の諸問題に関して、相談・指導を行います。たとえば、ある企業から、「Aという従業員を解雇したいのだけど、法律上どんな問題があるか」といった相談があったときに、豊富な法律知識を基に、的確なアドバイスを行います。参考までに申し上げておくと、解雇はむやみやたらと行って良いというものではなく、「合理的な理由がある場合」に限られます。社会的弱者である労働者を守るために、法律や裁判所が厳しい規制を加えているのです。
 3号業務は、法律や労務管理のプロとしての豊富な知識が要求されますから、必然的に高い報酬が取れます。3号業務を主力とすれば、数千万年単位の年収も可能です。
 ただし、3号業務については、法律の保護はありません。社労士でない人が行ってもさしつかえありません。

 現在開業されている社労士の方々は、1・2号業務主力の方が多いようですが、最近では3号業務に手を染める社労士が増えつつあります。

3)飛び込み訪問
 さて、私自身のことに話を戻します。受験指導に少し自信ができましたので、1・2号業務もやってみたくなりました。3号業務をやるには、さすがに時期尚早かなとの思いがありましたので、当面は1・2号業務のことしか考えませんでした。
 とは言っても、コネも何もありませんし、どこからどう手をつけて良いやら、見当もつきません。ものの本によって、飛び込み訪問をやったり、DMを送れば何とかなるらしいと知った私は、実践してみることにしました。
 まず、飛び込み訪問。名刺をこさえ、事務所の近所を歩き、目についた会社に手当たり次第に飛び込みました。最初は、「1日50件」の目標を立てたのですが、すぐにこれが無謀であることを悟りました。なぜなら、飛び込んでも飛び込んでも門前払いされるばかりなので、精神的負担が大きいからです。20件も断られると、気持ちはボロボロになってしまい、それ以降気力が萎えてしまうのです。結局、1日50件の飛び込みが実現できたのは最初の2〜3日だけで、それ以降は20件程飛び込んですべて断られ、疲れ果てた重い足を引きずりながら家路につくという日々が続きました。
 経験者として語りますが、飛び込み訪問は、本当に大変です。「うちは間に合ってるから」、「押し売りは嫌いだから」と2〜3秒で追い払われてしまうことがほとんどで、社長に会えるチャンスなどめったに巡ってきません。稀に会えたとしても、乗り気になってくれる社長など、少なくとも私の経験では皆無でした。
 現実の厳しさに打ちのめされた私は、1カ月程度で飛び込み訪問を止め、DM送付にトライしてみることにしました。

飛び込み訪問(私の場合)
飛び込み訪問(私の場合)

4)DM送付
 DMに関しては、「千三つ」という言葉があるのをご存知でしょうか。千通出して三通の反応があれば良いほうだ、との意味です。 私もこの言葉は知っていましたが、他に手段もないのですから、仕方がありません。ともかくやってみることにしました。
 DMは、自分でワープロで作成しました。私なりにいろいろと趣向を凝らしたつもりです。ここまではある程度楽しくやれましたが、問題はそれからでした。作業を始める前は、「よし、千通出してやろう」と意気込んでいた私でしたが、すぐにその大変さに気づきました。
 まず、作成したDMのコピーを取らなければなりませんし、封筒への封入作業、宛名書き、切手貼付作業なども全部一人でやらなければなりません。どう考えても千通は無理なのです。
 結局、最初は300通出すことにしました。送付先は、新聞折り込みの求人広告でピックアップしました。求人広告を出す会社は、比較的業績も良く、社労士に仕事を頼もうとの気になってくれるかも知れないと考えたのです。
 発送してから2〜3日はどきどきものでした。次から次へと電話が鳴って、こなしきれない程仕事が来たらどうしよう、との淡い期待を抱いていたのです。
 この幻想は、すぐに打ち砕かれました。1週間経っても、電話は一度も鳴りませんでした。でも私は、ここですぐに諦めることはしませんでした。「待っているからだめなんだ、こちらから打って出てやる」とばかりに、DM送付先に片っ端から電話営業を敢行したのです。
電話営業では、新たな発見がありました。飛び込み訪問のときは門前払いされることが多かったのですが、電話だと相手も警戒心が薄らぐのか、いろいろ話してくれるのです。快く社長に取り次いでくれることもたびたびでした。
 社長と話ができても、「ではすぐに契約を」というわけにはなかなかいきませんが、それでも話ができるだけでも良いものです。相手が何を欲しているかの情報を得ることができるからです。このときに収集した情報は、2度目以降のDM送付の際の参考にすることができました。
 何十件目かの電話の相手(社長)が、「ぜひ会いたい」と言ってくれました。DMを送った段階では何の反応もなかったのにです。電話で話したことで、社長も警戒を解いてくれたのでしょう。やはりDMという書面だけでなく、一度は話してみないと、良い関係は生まれにくいものであるようです。
 この会社は、私の契約先第一号となりました。できたばかりの会社でまだ社会保険に加入していませんでしたので、社会保険の加入手続きから就業規則の作成まで、いろいろな仕事をやらせてもらいました。
 その後DMは何度か送付し、数件の契約先を獲得することができましたが、それ以上に効果があったのが紹介です。契約先になった会社の業務を誠実にこなしていると、いずれその会社の社長が同業者を紹介してくれることがあるのです。
 DM送付と紹介で、私の契約先は少しずつではありますが、増えていきました。

DM送付(私の場合)
DM送付(私の場合)

 ちなみに私は、昨年(平成11年)4月に、自分の契約先をすべて知り合いの開業社労士に譲り、今は契約先はゼロです。受験指導に加え、次号でお話しするような仕事が増えてきたので、一人では到底こなしきれなくなったからです。1・2号業務を切り捨てたことについて、後悔はありません。なぜなら私は、1・2号業務よりも次号でお話しするような業務の方が好きだからです(あくまでも個人的な趣味です)。

3号業務
 私の場合、3号業務は、1・2号業務をこなしていく中で、自然に生まれてきました。1・2号業務を誠実に行っていれば、社長の信頼を得ることができ、何か問題が発生したときに、相談してくれるのです。ちょっとした相談くらいなら、契約料の範囲で答えてしまいますが、ときに、就業規則の改訂、賃金規程の見直しなどの依頼があることもあり、その場合は別途費用を請求します。
 開業当初から、「1・2号業務は嫌なので、3号業務一本でやる」という人がいますが、あまりお勧めできません。1・2号業務で実績を積んでいく中で、自然発生的に3号業務が生まれてくる、というものだと思います。

その(4)に続く

現在の真島からちょっと補足
 「景気が悪い」ことを「成功できない」理由にしてしまう人がいます。確かに景気が良いときに比べて何かと厳しいことは事実ですが、だからと言って、「景気が悪ければ絶対に成功できない」わけではありません。現に最近開業して成功した社労士もたくさんいます。
 

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