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どうすれば成功できるのか
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4号業務の魅力
 引き続き4号業務の話です。企業研修、新聞・雑誌の記事執筆、書籍の執筆、年金相談の各業務につき、順次見ていきましょう。

 ※4号業務:筆者の造語。社労士法が定義づける1・2号業務(手続業務)、3号業務(相談、指導業務)以外のすべての業務を指す。具体的には、受験指導、講演、企業研修、年金相談など。

1.企業研修
 企業が教育訓練の一貫として行うOff―JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の講師の仕事です。
 企業は従業員に対してさまざまな教育訓練を施しますが、社労士に講師を依頼する訓練としては、「新任管理職研修」があります
 「平社員が管理職になる」ことを、労働基準法では「労働者が使用者になる」といいます。労働者と使用者の一番の違いは、部下を持つかどうかです。
 部下を持つ使用者となれば、労働法に精通しなければなりません。労働法を知らずにいると、知らない間に法律違反を犯してしまう危険性があるからです。「知らなかった」では通用しないのが法律です。
 そこで、企業は、新任管理職の人たちを対象として、「労働法をベースとした部下の使い方」という内容の研修を行います。
 研修の内容は、どうしても法律色の強いものになりますが、そんな大それたことを教えるわけではなく、あなたにすれば基礎の基礎程度の内容で十分です。たとえば、「アルバイトにも有給休暇を与えなければならないんですよ」といったごとくです。
 研修の進め方ですが、単に法律の知識を偉そうに講釈するだけなら誰でもできます。参加者達を飽きさせないように、さらに実際の業務で活用してもらえるように、いろいろと工夫をこらす必要があります。具体的には、次の点に留意すればよいでしょう。

@研修の目的を理解させる
 目的もわからずに研修に参加している人が、意外と多いものです。最後まで教室の活気を保つためにも、参加者全員に目的を理解してもらうことが必要です。
 念のために、「新任管理職研修」の目的を書いておきます。
ア.「最低限の基準」である法律を学習する
 ⇒法律の学習を行うのは、法律違反を犯さないようにするためです。企業の管理職ともあろう者が、犯罪を行ってはいけません。
イ.法律はあくまでも基礎的な知識。本当の目的は、「よりよい労務管理を学ぶ」こと
 ⇒管理職の真の仕事は、法律を守ることではなく、適切な労務管理を行うことです(法律を守ることは、管理職である前に、人間として当然のことです)。いかにすれば部下にやる気を持って働いてもらえるかを、常に考え実践していかなければなりません。それが会社のため、ひいては自分自身(研修参加者)のためにもなるのです。

A参加型の研修とする
 えんえんとあなたがしゃべるだけでは、聞く方も疲れてしまいます。ときどき抜き打ちで質問をしてみましょう。また、参加者を数人のグループに分け、討論させるのも効果的です。
 開業社労士のAさんがB社から「新任管理職研修」の講師の依頼を受けたとの前提で、企業研修の実際を見てみましょう。

4月1日 B社より電話あり。研修を依頼される。6月1日午後1時より5時まで。会場はB社研修室。報酬は30万円。
4月3日 B社に出向き、担当者と顔合わせ。詳細の打ち合わせ
4月4日〜 レジュメ作成に入る。B社からは「レジュメはラフなものでよい」と言われたが、Aさんは「後々まで残るものがよい」と考え、体系立てたきちんとしたものを作成することとした。30ページ程度の小冊子とする。コピーと製本はB社に依頼
5月28日 B社より電話あり。当日のタイムスケジュール等の最終確認
6月1日 本番。基本的には講和形式だが(Aさんが演壇で話し続ける)、10分に一度程度参加者の一人一人に質問する形を取った。適度な緊張感が保てたので、居眠りする者はいなかった。全体的には成功であったといえる。

 受験指導と企業研修の最も大きな違いは、参加者の態度です。受験指導の場合は、参加者は自分でお金を払い、さらに「何が何でも合格する!」という気持ちで聞いていますから、まさに真剣そのものです。
 それに対して企業研修は、会社に言われていやいや参加している人が多いですから、どうしても活気が不足します。仕事中に研修に参加しているので、「この忙しいのに研修なんか受けてられるか」とばかりに、講師に対して敵意むき出しの人もたまにはいます。受験指導とはまた違った意味でやりづらい面も多いのです。

2.新聞、雑誌の記事執筆
 新聞や雑誌に掲載される年金や介護などのコラムを執筆する仕事です。新聞社や雑誌社の記者は労働法や社会保険の専門家ではないので、このようなコラムは外部の開業社労士に執筆を依頼するのです。
 前にも書いたのですが、読者数で言えば、書籍の比ではありません。あなたの署名入りの記事ならば、あなたの名前が世間に知れ渡ることになるのですから、報酬度外視で取り組むべき価値のある仕事といえるでしょう。
 一回こっきりの執筆ならばよいのですが、連載の場合は注意が必要です。1月に1度もしくは2週間に1度程度コンスタントに記事を執筆するのは、案外大変なのです。最初は気分ものっていますから良いのですが、連載が続いてくると、そのうち書くのがおっくうになってきます。慣れとは恐いもので、嬉しさや気合はいずれどこかにいってしまって、「また書かなければいけない」といった義務的な気持ちに支配されるときが必ずやってくるのです。
 不思議なもので、そんな気持ちでいるときは、2週間や1月に1度の締め切りがとても早く感じられるものです。特に他の仕事に追いまくられているときなどは、ついつい手抜きの記事を書いてしまうことにもなりかねません。そうならないためには、比較的手がすいているときに、何本分かを書き溜めておくとよいでしょう。他の仕事が忙しいときは、ストックした分から提出するようにするのです。
 他にも注意すべき点があります。それは、法改正に敏感になっておくことです。新聞や雑誌は、常にタイムリーな情報を提供しなければなりません。あなたが最新の法改正を見逃していて、記事に古い情報を書いてしまったら、それはあなたばかりではなく、その新聞社や雑誌社の恥になります。次から絶対に仕事が来なくなりますから、くれぐれも気をつけてください。
 法改正の収集方法ですが、これが言うべくしてなかなか難しいのです。一番良いのは官報を定期購読することです。ご存知だと思いますが、官報は国が発行する新聞であり、法改正情報のすべてが掲載されます。官報に載った日がその法律の公布の日ですから、まさにタイムリーそのものであるわけです。
 ただし官報は、一度でも見たことがある方ならわかると思いますが、非常によみづらいです。1日分だけでも大変なのに、それが毎日送られてくるとなると、他の仕事を抱えながらすべてに目を通すことは実質的に不可能でしょう。
 社労士会の会報や特定の雑誌にも掲載されますが、編集の都合上どうしても官報公布の日から2〜3カ月遅れます。これではとてもタイムリーとはいえませんね。
ではどうするかですが、残念ながらこれはという最良の手段は見当たりません。多くの人がやっているのは、社労士会の会報や雑誌にこまめに目を通しつつ、新聞やインターネットで常に情報を収集することを心がけることです。

3.書籍の執筆
 書籍の執筆については、前にも書いた通りで、「出版社の敷居は意外と低い」のです。ぜひ、「いずれ本を書いてやるんだ」との気もちを持ち続けてください。夢見なければ、夢はけっしてかなうことはありません。まず強烈に「実現させたい」と欲するところから、夢の実現がはじまるのです。人に妄想と言われようが何と言われようが一切気にせずに、大きな夢を持ってください。「少年よ、大志を抱け」というではありませんか。あなたの実年齢は知りませんが、開業社労士の世界では、あなたは少年なのです。遠慮なく大志を抱くべきでしょう。
 参考までにお伝えしておくと、あなたの書いた本がもし100万部売れたとすると、印税は億単位になります。悠々自適の生活が送れますよ。
 本を書く上で最も注意すべきことは、「売れる本」を書こうと意識することです。出版社も商売ですから、どんなに内容が高尚でも、売れない本には価値がありません。もちろん内容は一定水準以上でなければなりませんが、それよりも何よりも「売れる」ことが最も大切なことなのです。
 では、どうすれば売れるのか。それは誰にもわかりません。ただ、総じて次のようなことは言えるでしょう。
1、文章ばかりより、図表やイラストが多い方がよい。
2、文章は、わかりやすい方がよい。
3、値段は安い方がよい。
4、タイトルは面白く、表紙は特徴があって人目を引く方がよい。
5、役に立つ方がよい。

4.年金相談
 年金の制度はとても複雑です。あなたも受験時代はだいぶご苦労されたのではないですか。でも、年金制度が複雑だからこそ、開業社労士にとって強力な商売のツールとなりえるのです。
 年金はみんながもらうものです。年を取れば老齢年金がもらえますし、障害者になれば障害年金、家族を失くすと遺族年金がもらえます。だから、みんなが年金のことを知りたがります。
 でも、年金制度は複雑です。一般の人ではとうてい理解できない程です。そこで、専門家である社労士の出番です。「年金のことを知りたい」という一般人の希望に、専門家としての立場から応えてあげられる存在、それが社労士なのです。
 年金は、金融機関の口座に振り込まれます。金融機関としても、年金口座は歩留まりが良いので(年金はできるだけ使わないようにする、年金口座を作った金融機関が本人のメインバンクとなる)、獲得をめざします。そこで、金融機関のサービスの一環として、「無料年金相談会」が開催されるのです。
 年金の専門家である社労士は、引っ張りだこです。複数の金融機関と提携して、年金だけで相当な収入がある社労士もいるのです。まずは、あなたのメインバンクあたりに話を通してみたらいかがでしょうか。
 年金相談で気をつけるべきことは、相談者の立場になることです。相談者が笑っていれば共に笑い、泣いていれば共に泣くくらいの感情移入が必要です。人は、自分と同じ気持ちでいる人に対しては、比較的楽に胸襟を開くものです。相談者に、「この人に相談して良かった」と思ってもらえれば、あなたの年金相談は成功だったと言えるのです。

連載を終えるに当たって
 これで私の話はすべて終わりです。連載を始めた頃は10回程度で終わらせるつもりでしたが、結局19回に渡る長期の連載となりました。開業社労士の現状をありのままにお伝えし、打開策もつぶさにご提示したつもりです。自分で言うのはあまりにも変ですが、これから開業社労士になろうとする方にとっては、バイブルにも等しい内容をご提供できたものと自負しています。この連載をお読みになった方々のうち、たとえ1名でも開業社労士の道へと歩み出していただければ、私も使命を果たしたといえます。
 これで最後ですから、19回の連載のまとめをしておきましょう。

<この連載のまとめ>
1、社労士業界の現状
 開業社労士のほとんどすべてが1・2号業務を主力としており、3号業務をメインとする社労士は少ない。
 長引く不景気の中で、これから開業して1・2号業務のみでの成功は厳しいと思われる。
2、これから開業して成功するためには
 1・2号業務に固執せずに、3号業務さらには4号業務を交えたトータル的な戦略で打って出よう。
 とは言っても、ここ数年内で開業して、1・2号業務で大成功を収めた社労士もいる。要はやり方である。不景気のせいにしてはいけない。脳みそを使って考え、体を使って行動しよう。
3、1・2号業務で成功するには
 言葉は悪いが、「酒屋の御用聞き」に徹する姿勢が必要であろう。顧客にとって「役に立つ社労士」になれれば、顧客は金を払ってくれるはず。
 酒屋と開業社労士の違いは、販売する商品のみである。すなわち、酒屋は酒、開業社労士は専門知識を販売する。商品が違うだけで同じ商売なのだから、営業マンの態度が違うのはおかしいと心得よ。
4、3号業務で成功するには
 いきなり3号業務をやろうとしても無理(と思う。決して断定ではない)。やはり、1・2号業務で地道に地盤を固める中から自然発生的に湧いてくる類のものであろう。
 3号業務では、高いレベルの専門性が要求される。常日頃からの勉強が欠かせない。
5、4号業務で成功するには
 まず、発想を柔軟にすること。これまで誰もてがけなかった新しい商売を見つけ出すくらいの柔軟さが欲しい。競争相手がいないことは、商売にとって絶対的に有利である。
 加えて、積極性も欠かせない。「どうせだめだろう」と思ったら、そこで進歩は止まる。「だめでもともと」で何でもやってみることが必要。「絶対に無理だろう」と思っていても、いざやってみると案外簡単にうまくいくことも多い。人一人の判断力などたかが知れている。自分だけの勝手な思い込みで貴重なチャンスを逃すのは、あまりにも惜しい。
 さらに、積極性と相通ずるのだが、絶対にあきらめない姿勢も大事。「100やって1うまくいけばいいや」程度のおおらかさが欲しい。99失敗しても1成功すれば、それは大成功である。100回トライすれば、結局100の成功がゲットできる理屈だ。

おわりに>
 長期間お読みいただき、ありがとうございました。あなたのご健闘を祈っています。最後に申し添えておくと、いろいろ偉そうなことを言いましたが、私自身がまだ発展途上にあります。あなたが進歩すれば、私もまたあなたに負けないくらい進歩します。豊かな未来に向かって、共に歩んでいきましょう。

おわり

現在の真島からちょっと補足
 私の気持ちは、あの頃と何も変わっていません。一生勉強、一生ゴールはないのだと肝に銘じて、一歩ずつ歩んでいくだけです。同じ道の途中で、いつかあなたに会えたらいいですね。


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