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どうすれば成功できるのか
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講演業務の実際

 現在、4号業務についてお話中です
 前回までは、私の本業である受験指導業務について、3回にわたりお話ししました。今号では、講演業務を取り上げてみたいと思います。
 
※4号業務:筆者の造語。社労士法が定義づける1・2号業務(手続業務)、3号業務(相談、指導業務)以外のすべての業務を指す。具体的には、受験指導、講演、企業研修、年金相談など。


1、講演業務って何?
 講演業務とは、いったい何でしょうか。別に難しく考える必要はありません。あなたが「講演」と聞いてすぐイメージされるであろう、そう、まさにあれです。一人の講師が演壇で1時間半から2時間程度しゃべり、何十人、ときには何百人もの聴衆が聴講します。講師の話が終わった後は約束ごとのように万雷の拍手が沸き起こり、講師はご満悦の体で意気揚々と退場するのです(その後で、講師と聴衆の交流会が催される場合もありますが)。
 昔は講演の講師と言うと、偉い大学の先生や政治家、はたまた著名な経済学者などがほとんどだったのですが、最近ではだいぶ世の中自体がくだけてきましたので、芸能人やスポーツ選手が演壇に立つ機会も増えて来ましたよね。もしかしたらあなたも、好きな有名人の講演を聴いた経験をお持ちかもしれません。
 多くの人を前にして演壇で自説を堂々と展開する講師は、とてもかっこいいですよね。なんだか後光がさして見え、別世界に住む人のような気さえするものです。
 あなたも、あの素敵な講演の講師になってみたいと考えたことはありませんか。だいじょうぶ。開業社労士にだってチャンスがあるのです。
 
2、講演の講師になるには
 そもそも講演業務にはどうすれば就けるのでしょうか。どこかで講師の募集でもしているのでしょうか。履歴書を郵送して、その後面接を何度か経た上で合格者が決められるのでしょうか。
 どうやら、そうではないようです。
 まあ、広い世の中ですから例外はあるかもしれませんが、少なくとも私の知っている限りでは、講演の講師を募集しているという話は聞いたことがありません
 では、現在各所で講演を行っている講師達は、どのようにして選ばれたのでしょうか。
講演には必ず「主催団体」が存在します。その講演を「実施しよう!」と決定し、具体的な「会場手配」から「宣伝」から「当日の運営全般」までをも取り仕切る団体です。団体の性格はさまざまで、市民団体であったり、企業であったり、地方自治体であったりします。芸能人の場合は、芸能プロダクションがその任に当たることでしょう。
 講師の選定は、その団体の一存で決まるケースがほとんどです。つまり、ある団体が、「今度こういったテーマで講演を開催しよう」と決定すると、さまざまな情報網を使って、そのテーマに合った講師を探すのです。
 活用する情報網はいろいろです。主なところを挙げれば、口コミ、インターネット、その団体の会員の紹介などです(芸能人やスポーツ選手の講演のように、最初から"その人の講演をやろう"と決めている場合はもちろん別です)。
 とある市民団体が、「地方自治体の将来について」というテーマでの講演会を企画したとしましょう。最初の段階では講師のめどは立っていません。そこでその団体では、地域の風評やインターネットなどで情報を収集し、幾人かの候補を選びました。すなわち、大学の社会学部の教授、地元の「地域問題研究家」、行政の地域振興課の課長の3人です。
 協議の結果、この3人の中から今回は大学の社会学部の教授にお願いすることにしました。
 講師手配担当者が、さっそくこの教授に電話をかけます。趣旨を説明して登板を依頼すると、教授は快く引き受けてくれました。電話だけでは失礼に当たるので、翌日教授のもとを訪れ、面と向かって頭を下げたのでした。

3、開業社労士にとっての講演業務
(1)依頼を受けるためには
 開業社労士にも、講演の依頼が来ることがあります。ただ、これまでの話でおわかりいただけると思いますが、ある程度名前が売れていることが必須条件です。名前が売れていればこそ、主催団体の講師候補に入れてもらえるのです。あなたがどんなに優秀な人でも、講師手配担当者があなたの存在を知ることがなければ、候補に入れてもらえることもありえません。日頃は1・2号業務(手続業務)に精を出すにしても、折を見て、名前を売る算段もしておいてください。名前を売る手段としては、次のようなものが挙げられます。
@1・2号業務を一所懸命やる
 今言ったことと矛盾するように聞こえるかも知れませんが、これは実はとても大切なことです。1・2号業務を真摯にこなしていれば、評判が評判を呼び、某団体の講師手配担当者の耳に入ることもあるのです。千里の道も一歩から。まず足元を地道に固めていくことが、大きな飛躍へのファーストステップなのです。
A雑誌や新聞の記事執筆
 名前を売る手段としては、これ以上のものはありません。この方法については、次号以降で詳しくご説明します。
B書籍の執筆
 雑誌や新聞と同程度の効果があります。受験書でもいいのですが、名前を売ることが目的ならば、一般読者向けの本を多く執筆すると良いでしょう。

(2)テーマは
 開業社労士は専門職ですから、依頼されるテーマも自ずと決まってきます。具体的には、次のようなものがあります(実際に私が受けたことがあるテーマです)。
@ 年金制度のしくみ
A 年金制度の将来
B 企業年金のしくみと行方
C 医療保険の活用法
D 退職者の社会保険
E セクハラにどう対処する?

(3)報酬は
 報酬は、千差万別で一概には言えません。まず、人によって違います。人によってというのは、有名度によってということです。また、主催団体によっても違いますし、テーマによって異なることもあります。あくまでも目安としての、平均的な数字を挙げれば、1回の講演(1時間半から2時間程度)で5万円〜30万円程度でしょうか。

(4)講演依頼の実際
 次に、依頼が来てから講演当日までの一般的なプロセスについて説明します。例に沿った説明の方がわかりやすいでしょうから、開業社労士のあなたに登場していただきましょう。
開業社労士のあなたに、某企業から「年金制度のしくみ」というテーマでの講演依頼が来たとの設定です。講演の依頼を受けたのは、これが始めて。それどころか、これまで人前で話した経験すらありません。依頼があった日は4月1日とします。
4月1日:
 講師手配担当者から突然電話あり。5月1日に2時間程度で講演を頼みたい。テーマは「年金制度のしくみ」。簡単なレジュメを作って欲しい。報酬は、レジュメ込みで15万円。詳細はお会いしてお話ししたいとのこと。「来るものは拒まず」主義のあなたは、一も二もなく引き受けた。
4月3日:
 講師手配担当者が、あなたの事務所を訪問する。テーマその他は、電話で話した通り。新聞及び雑誌にて宣伝を行うとのこと。したがって、聴講者はズブのしろうとばかり。レジュメは4月25日までに作成して、メールで送ってほしい。あなたは、すべて快諾した。
4月4日〜4月15日:
 受験時代にあまり年金が得意でなかったあなたは、この間猛勉強をする。人前で話すのだから、いいかげんなことはできないので、書店で目につく限りの年金の本を買いあさり、むさぼり読む。重要点は別紙にまとめて、自分なりのサブノートを作り上げた。他の仕事をこなしながら、一日5〜6時間を勉強に当てた。当然睡眠時間は1日3〜4時間。肉体的にはつらかったが、精神的にはこれまでの人生の中で一番充実した期間であった。
4月16日〜4月25日:
 サブノートを元に、レジュメを作成してメールにて送付。A42〜3枚の簡単なものに止める。後は「話で勝負」の予定だ。
4月25日〜4月30日:
 当日の時間配分と話す内容について、緻密な計画表を作成する。なにせ人前で話すのははじめてなので、分刻みで計画を立てておかなければならない。併せて、知識の確認も怠らないようにした。
5月1日:
  講演当日である。聴くと、聴衆は300人から集まっているらしい。心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張しているが、ここまで来たら覚悟を決めるより他ない。話す内容をもう一度確認した後、講演会場へ向かう。会場には開演1時間前には着いた。主催企業の重役数名と名刺交換をした後、講師手配担当者と最後の綿密な打ち合わせ。開演30分前には最後の準備のために、お願いして確保してもらっていた個室に入る。
 開演5分前に講師手配担当者が呼びに来る。ネクタイの曲がりをチェックしたあなたは、いざ講演会場へ。講師手配担当者に紹介してもらった後、演壇へ。マイクを握って第一声。
  緊張していたのは、ここまでであった。話し始めてみると、意外とスムーズに言葉が口から出て来る。途中からは乗って来て、身振り手振りもおおげさになり、アドリブも交えることができた。
 時間通りピッタリ終了。あなたとしては、満足できる出来であった。だが、問題は聴衆の反応。あなたが話し終えた後一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手が会場内に響き渡った。
 その日は、そっと一人で祝杯を上げたあなたであった。

(5)あなたの講演業務初仕事について
 あなたの講演業務初仕事について、分析してみましょう。
 まずは、最初の電話での依頼。講演の依頼は、ほとんどの場合電話で来ます。封書による依頼は稀ですね。つまり、「喜びは突然やってくる」というわけです。最初の電話で、日程、テーマ程度の簡単な説明を聞いた上で、「一度お目にかかりたい」という展開になるのが一般的です。
 担当者との最初の面談は、通常あなたの事務所で行われます。相手が大企業、あなたは一介の開業社労士だとしても、仕事を依頼して来たのは向こうなのですから、向こうがあなたの事務所に出向くのがものの道理なのです。
 面談の際は、講演の趣旨、日程、報酬などの細かい点をチェックすることはもちろん必要ですが、それ以上に大切なのは、担当者とできるだけ仲良くなることです。これから講演当日までのパートナーなのですから、仲良く打ち解けておいた方がいいに決まっています。
 その後講演当日までの過ごし方ですが、テーマによほど自信がある場合は別にして、しっかり勉強をするようにしましょう。あなたの例のように、苦手なテーマが与えられることは実際問題多いものです。その際に、「苦手だから断る」という姿勢は絶対にやめるべきです。一度断ったら、その団体からは二度と仕事は来ないと思ってください。世の中は厳しいのです。駆け出しのあなたに仕事を選り好みする権利はありません。
 レジュメの作成を依頼された場合は、あなたの力の及び限り最高のものを作成しましょう。枚数を多くという意味ではありませんので、誤解なきように。少ない枚数でも、全身全霊で作成して欲しいということです。むしろ、あまり枚数の多いレジュメは歓迎されないこともあります。聴衆はあなたの話を聞きに来ているのであって、レジュメを受け取りに来ているわけではないからです。
 当日は、30分から1時間前には会場に入るようにしましょう。開演ギリギリに飛び込むなどもってのほかです。ギリギリまでやって来ないあなたを待つ担当者の苛立ちを考えてみてください。
 いざ講演が始まったら、そこはあなたの独壇場です。あなたのためだけに用意された舞台なのですから、あなたがやりたいようにやれば良いのです。敢えて私のアドバイスを言えば、次の2点です。
  1. 聴衆がいることを忘れてはいけない。一人で盛り上がって浮くのはよくない。常に聴衆の立場に立って話すこと。
  2. 冗談を多く交え、とにかく楽しそうに話すこと(まあ、テーマにもよりますが)。しゃべっているあなた自身が楽しくなければ、聴衆も楽しいはずがない。
4、講演業務の楽しさについて
 以上で講演業務の実際の話は終わりです。あなたを主役に仕立て上げ、依頼から講演当日までをリアルに再現してみましたが、あなたは何を感じたでしょうか。うきうきわくわく、身震いするような興奮を覚えたとすれば、あなたは講演向きの性格です。ぜひともせっせと名前を売って、講演の仕事を勝ち得てください。
 場合によっては、待っているだけではなくて、ターゲットとなる団体を選別してあなたから仕掛けてもいいではないですか。開業社労士の仕事のやり方に、「こうでなくてはならない」などのマニュアルは存在しません。あなたが自分の頭を使って、奇抜な方法でアプローチしてみてください。道は思わぬところから開けるものです。型にはまってしまったらそこで進歩は止まります。成功のためには、常に柔軟な姿勢で積極的にチャレンジしてみることが必要なのです。
 もしかしたらあなたは、うきうきわくわくの興奮などは感じず、逆に「そんな大変なこと私にはできない」と頭を抱えてしまったかもしれませんね。だからと言って悲観することはありません。なぜなら、誰でも皆最初はそうだからです。最初からうきうきわくわくなんて人は、とても稀なものです。かく言う私だって、今は偉そうなことを言ってますが、生まれて初めて演壇に立ったときは、足ががくがく震えてうまくしゃべれなかったものです。
 何事も慣れです。石の上にも3年、下手ながらも長く続けていると、そのうちものになってくるものなのです。とにかく第一歩を踏み出すことが肝心。ちょっと背伸びしてがんばってみましょう。自分自身の意外な才能に驚かされるかもしれませんよ。

その(19)に続く

現在の真島からちょっと補足
 最近は、講演の依頼は電子メールで来ますね。まず電子メールを送って相手の様子を伺ってから電話をするというパターンが多いです。


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