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どうすれば成功できるのか
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開業の準備は調ったか
 すべての準備が調い、いよいよ開業です。備えあれば憂いなしといいます。本当にすべての準備が調ったかどうか、以下の点をご自分でチェックしてください。
  1. 登録を済ませたか
  2. ファックス、パソコンなどの備品を買い揃えたか
  3. パソコンがある程度使えるようになったか
  4. 名刺は作成したか
  5. 1度しかない人生、本当に開業社労士でいいのか。他に道があるのではないか
  6. 絶対に成功するとの強い信念を持ったか
  7. 営業して顧客をつかまえる自信がついたか。最悪自身がなくても、必死になってやってみようとの心構えができたか
  8. 健康管理は万全か
  9. 今後3年間余暇一切なしの覚悟はできたか
  10. 最低でも3年間食いつなぐだけの貯金はできたか
(5)、(6)について
 開業するからには、「自分にはこの道しかない」との自覚、「絶対に成功する」との強い信念を持ってください。開業社労士の世界は競争激烈です。生半可な気持ちでは生き残ることは不可能と心得るべきです。
(9)、(10)について
 開業社労士といえば聞こえはいいのですが、社労士会への登録がなければ、無職と変わりません。開業当初から顧客がどんどんできてすぐに儲かるなどといういことは、まず十中八九ありませんので、軌道に乗るまでの間食いつなげるように、最低でも3年分程度の蓄えが必要です。

 いかがでしょうか。以上のポイントのどれか一つでも調っていない方は、開業は時期尚早です。人生は長いのですから、決して焦ることはありません。すべての準備を調えてから船出しましょう。

1.2号業務は宝の山
 すべての準備が調ったあなたは、もう、後ろを振り返ったり立ち止まったりする必要はありません。後は、成功に向けて前だけを見て、ひたすら突っ走りましょう。
 さて、今号からしばらくの間は、「開業社労士ができる仕事」を一つ一つ取り上げ、より具体的に見ていきたいと思います。今後あなたが行うことになる仕事の詳細を知ることで、「突っ走り方」も見えてくるでしょうから。

 最初にとりあげるのは、1・2号業務です。多くの開業社労士が主要業務としているこの仕事は、新米開業社労士が比較的取り組みやすく、それでいながら顧客をつかめば生活も安定する"おいしい"仕事です。
 1.2号業務の内容については、いまさらご説明するまでもないですよね。企業と契約を結び、月々定額の報酬を頂くかわりに、その企業の労働・社会保険の手続きを行う仕事です。具体的には、書類を作成(記入)して、役所に持参・提出します。
 試験勉強中、おのおのの法律ごとに、「届出」に関する項目があったのを記憶しているでしょう。たとえば健康保険でいえば、人を雇ったときは、会社で「被保険者資格取得届」を作成して5日以内に保険者に届け出なければならなかったですよね。おのおのの法律に書いてあった「届出」を、実際に契約先企業の事業主に代わって行うのが1・2号業務なのです。
 なお、1・2号業務には、賃金台帳などの帳簿作成の仕事も含まれます。

1.2号業務で収入高値安定
 あなたもご存じのように、1.2号業務は、社労士でない者が報酬を得て行ってはいけないことになっています。社労士以外の新規参入がないのですから競争率が低く、非常に有利な商売ということになります。
 顧問料は5〜10人程度規模だと、月額2〜3万円ですから、30〜40社の顧問先を作れれば、年間売上高1,000万円程度となります。サラリーマンでも1,000万円以上もらっている人はなかなかサラリーマンを辞めませんから、開業社労士の道を志した人の多くは、サラリーマン時代の年収を超えることになるでしょう。その上で生活が安定するという「高値安定」を実現できるわけですから、商売としては理想形ですよね。
 以下、1.2号業務の事始め(営業をはじめる)から、いざ顧客をつかんだときの日々の業務の実際、さらに問題発生の際の対処法などについて、詳細に見ていくことにします。

精力的な営業活動をしよう
 在職中からコネがあって開業後すぐにある程度の顧客を持てる方は別ですが(そんな方はそもそもこの連載をお読みにならないでしょうが)、そうでなければ、一から営業活動を行わなければなりません。営業活動の実際を見てみましょう。
飛込み訪問
 DM送付と並んで、コネなし開業社労士が行うべき営業活動の王道とされるのが飛込み訪問です。
 まず、飛び込むべき企業を見つけなければなりませんが、これはとても簡単なことです。よほど田舎にお住まいの方は別ですが、そうでなければ、車や自転車であなたのご自宅の周囲を回ってみてください。日頃は気にしていないと視界に入ってこないものですが、その気になって探せば、あなたの近所にも数多くの会社がある事実に驚かされることでしょう。社会保険はほとんどすべての事業が強制適用なのですから、目につく企業すべてがあなたの顧客になる可能性があると考えてよいのです。需要は案外手の届くところにあるものです。いかがですか。これだけでも少し元気が出ることでしょう。
 飛込み先の選別は終わりました。後は意を決して飛び込むだけですが、身体一つで飛び込んでも仕方がありません。下表の必要アイテムを揃えましょう。
飛込み訪問必要アイテム
名刺
事務所案内
役所のパンフレット
その他あなたが必要と思うアイテム

1、名刺
 名刺そのものはすでに揃えているでしょう。問題はその枚数です。ひょっとしてあなたは、近所の印刷屋に100枚の名刺を発注して、それで満足しているのではありませんか。
 それではいけません。なぜなら、飛込み訪問を敢行するには、大量の名刺が必要だからです。最低でも500枚、理想を言えば、最初に1,000〜2,000枚は頼んでおきましょう。
 名刺の使い方をご説明します。目星をつけた企業に飛び込んだらまず、受付の人などの最初にあなたが声をかける人に渡します。具体的な話をする前に、とにかく名刺を渡して自己紹介をするのです。よく、「受付では名前を名乗るだけ。名刺は直接の担当者に会ってから」という人がいますが、感心できません。日本では名刺は顔代わりです。日本人は、口だけで自己紹介する人よりも、名刺を出した上で自己紹介をする人のほうをより信頼するものです。
 担当者に会えたら、当然また名刺を渡します。運良く数名の担当者もしくは社長に会えたとしたら、この一社だけで数枚の名刺が必要になる計算です。1日何十社にも飛び込めば、トータルで何枚の名刺が必要になるかは、簡単な算数です。
 さらに、マンションの郵便受けなどに片っ端から投げ込んでおくのも手です。「マンションは人の住まいであって会社ではないのだから、無駄なのでは」とお思いかもしれませんが、マンションの一室をオフィスにしている会社もありますし、そのマンションにどこかの会社の社長が住んでいるかもしれません。とにかく少しでも可能性があれば試してみるのが、正しい営業というものです。膨大な数の名刺が必要であることが、おわかり頂けたでしょう。

2、事務所案内
 いざ担当者に会えたとき、名刺だけでは相手はあなたの仕事についてピンと来ないものです。あなたの事務所の案内書も併せて渡すようにしましょう。
 作成は専門の業者に頼んでもいいのですが、せっかくパソコンも使えるようになったのですから、意匠を凝らしてパソコンで作成するのが良いでしょう。パソコンの習熟度も高まり、一石二鳥というものです。
 内容については、難しく考える必要はありません。あなたが相手に伝えたいと思うこと、知ってもらえれば、あなたの商売にプラスになるだろうと考えることを盛り込めばよいのです。具体的には、
  1. 社労士とは何か
  2. 社労士が何ができるか
  3. 社労士と契約するとどう得か
 などの項目を、図表を駆使してわかりやすくまとめましょう。文章でだらだら書いてあるよりも、相手の視覚に訴える手法の方が、うまくいく確率が高いものです。ここがあなたの腕の見せどころです。「これでよい」と納得できるまで試行錯誤を繰り返す労力を惜しんではいけません。

3、役所のパンフレット
 担当者に「社会保険について」説明するときに、あなたが作成した事務所案内だけよりは、役所のパンフレットもあった方が、相手により信頼してもらえます。労働基準監督署、公共職業安定所、社会保険事務所などに足を運び、無料のパンフレットをもらってきましょう(あまり大量にもらうと怒られるので、カラーコピーなどで対応するように)。あなたが一度でも役所のパンフレットをご覧になったことがあればおわかりだと思いますが、意外と図表が多くカラフルで、見やすく作成されています

4、その他あなたが必要と思うアイテム
 私がご提示した必要アイテムは、あくまでも私のやり方であり、営業の一手段に過ぎません。あなたはあなたなりの営業方法を確立していたければそれでよいのですから、必要アイテムもあなたが「必要だ」と思うものを持参するようにしてください。

 飛込み先の選定が終わり、必要アイテムも揃えました。さあ、後は実際に飛び込んでみるだけです。健闘を祈ります!
 とはいっても、営業経験のない方はなかなか簡単にはいきませんよね。実際に飛び込むために、「よし、飛び込むぞ」との清水の舞台から飛び降りたつもりの決意を固める必要があります。
 この点は、結局最後はあなたの自覚に頼るしかないのですが、それではこの連載をお読みいただいている意味がありません。私なりにできるだけあなたの精神的バックアップを試みてみたいと思います。

1、失敗しても平気だよ
 一軒目の飛込み訪問が完全に失敗に終わったとします。あなたは緊張しきったために、どもってしまいましたし、相手の対応も最悪。結局門前払いされてしまいました。
 でも、それがどうしたというのでしょう。あなたがいくら恥ずかしい思いをしたとしても、あなたが気にするほど相手はあなたのことを気にかけてはいないものです。きっと明日になれば、相手はあなたのことなんかすっかり忘れてしまいます。あなたがいつまでもくよくよしている必要などまったくないのです。
 それに、1社失敗したとしても、あなたが飛び込むべき、つまりあなたの顧客になる可能性のある企業は、他にもたくさんあります。失敗なんか忘れて、明るい顔で次の会社にチャレンジしようではありませんか。

2、みんな失敗してるよ
 今は偉そうな顔をしてる社労士先生だって、実はかくいう私だって、最初の飛込みの前は、死ぬほど緊張したのです。サラリーマン時代私は確かに営業部に所属してはいましたが、先にも書いた通り、あくまでも会社という看板を背負っての商売でした。初対面の相手でも、会社名を言えば、それだけで信頼してもらえたのです。
 開業社労士としての営業は根本から違います。一社労士として、一個人として体当たりして、私という人間を信頼してもらわなければならないのですから、サラリーマン時代とは自ずと緊張の度合いが違うのです。心臓が口から出そうとの表現がピッタリ来るほど、私は緊張して緊張しまくったのです。
 緊張するのはあたりまえと考えましょう。緊張しないようにと自分に言い聞かせってどうせ緊張するのなら、いっそのこと、思いっきり緊張してしまいましょう。なーに、失敗は成功のもとです。失敗した数だけうまくなるのだとの気楽な気持ちでいきましょう。

 今度は飛び込んだ後のことです。具体的にどうすればよいか、そしてどうなるのかをお話しします。現実と異なる甘いことを言ってあなたを安心させるつもりなどさらさらありませんから、そのつもりで…。

 入り口のドアを開けて、大きな会社なら受付に行けばよいのですが、小さな会社の場合は、そこらにいる人に声をかけましょう。名刺を出してあなたの身分と訪問の理由を話して、社長に面会を求めます。そのときの相手の反応のパターンとしては、大きく分けて3つです。
  1. 声をかけた相手に「私はわからないから」と言われ、しかるべき人に引き合わせてもらえる。しかるべき人が社長であることはめったにない
  2. 社長に取り次いでもらえる
  3. 声をかけた相手(社長の場合もある)に、うちは間に合ってるからと門前払いされる
 残念ながら、現実的にもっとも多いのは3です。しかし、断られてからが営業です。相手が嫌がるくらいねばってみましょう。飛込み訪問もある程度回数を重ねると、粘ってものになる相手かいくら粘っても無駄な相手かは、ちょっと話せばわかるようになりますが、飛込み訪問初心者のあなたには当然わかりません。あなたの気のすむまで粘ってみたらいいでしょう。誠心誠意あなたの気持ちを伝え、開業社労士と契約するとこんなに得だということ(安い契約料ですべての手続きを代行する。社会保険をきちんとしている会社には優秀な人材が集まる等)を、懇切丁寧に説明するのです。「粘り勝ち」という言葉は、あなたのためにあるのです。

 第1回目の飛込みで契約に結びつく可能性など、限りなくゼロに近いのです。何度も失敗していいかげんあきらめかけた頃に相手は網にかかってくるものです。最低でも1日20件を目標に、トライトライトライです。がんばってください。

その(12)に続く

現在の真島からちょっと補足
 開業当初は、私も数多くの飛び込み訪問を敢行しました。門前払いが一番多かったですねぇ。飛び込む端から門前払いされると、いいかげん気分が落ち込むものです。近くの公園で一人涙にくれていたときに、感動的なできごとがありました。通りかかった小さな女の子が、一人で目に涙を溜めている変なおじさんを哀れに思ったのでしょう、いそいそと寄ってきて、「おじちゃん、これあげる」と飴をくれたのです。その瞬間耐えられなくなり、涙が目からあふれ出し、頬を伝って地面に落ちたのを憶えています。
 あの女の子は、今どこでどうしているのでしょうか。あのときはほとんど言葉も交わさずに別れたのですが、できることなら、今からでもお礼が言いたい気分です。


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