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どうすれば成功できるのか 今号では、その他開業にあたって気をつけるべきことをまとめておきましょう。 1、ダブルライセンスは必要か よく、「社労士を取ったから次は税理士だ」、「次はFPだ」と言う人がいますが、いわゆるダブルライセンスは果たして必要なのでしょうか。 そもそも、これほどダブルライセンスが推奨される理由は何でしょうか。それは、専門学校があおりたてるからです。社労士だけでなく、色々な資格講座を開いている専門学校としては、多くの人が複数の資格にチャレンジして講座を受講してくれると、儲かるからです。あなたも、「今の時代はダブルライセンスは常識です。社労士を取った勢いで、他の資格も取得しましょう」などの宣伝文句が書きつらねてあるDMを受け取ったことがあるでしょう。 専門学校の宣伝に惑わされてはいけません。社労士で開業して成功するために、ダブルライセンスは本当に必要でしょうか。 結論から先に言えば、特に必要ありません。社労士一本で十分に勝負できますし、社労士の仕事だけでも無限にあります。社労士だけで、あなたの「やりがいのある仕事をして、経済的にも潤いたい」との希望は充分にかなえることができます。現実に私は(別に自慢するわけではありませんが)、社労士一本です。あえて言えば、車の運転免許と英検2級くらいは持っていますが、当然のことながら、ダブルライセンスといばれるような代物ではありません。 そもそも、ダブルライセンスを持っていても、なかなか2本立ての商売はできないものです。なぜなら、多くの資格が、その資格を武器に商売をしようとする場合、登録が必要だからです。たとえば、社労士とFPの資格をダブルで持っているとします。いざ開業して商売しようとするときには、おのおの社労士会とFP協会への登録が必要なのです。登録料はそんなに安くはありませんし、年会費もかかります。社労士、FP両方で支払う登録料や年会費を上回る収益を上げるのは、言うべくしてなかなか大変なものなのです。 したがって、ダブルライセンスを持っている人も、結局一つの資格のみ登録をしているケースがほとんどです。他の資格は、せっかく取ったのに、"眠らせて"しまっている状態なのです。 開業してから活用することもない資格に貴重な時間と労力をかけるのは、非常にもったいない話です。そんな暇があったら、社労士一本で身を立てる方法を考え実践する方が、得策ではないでしょうか。 ただ、誤解しないで頂きたいのですが、ダブルで資格を取ることは価値がないかもしれませんが、他の資格の勉強をすることは良いことです。なんでも広く勉強しておいて損になるはずはありませんし、他の資格の知識が、社労士としての営業の場でも役に立つことがあるのです。 あなたが開業して顧問先の事業主さんと話をしているときに、事業主さんの口から、突然経理や個人保険関係の話が飛び出してくることがあります。そのときに、「私は専門でないのでわかりません」よりは、何かしらのコメントができた方が話が弾み、よりよい営業ができることでしょう。比較的時間のある方は、資格を取る、つまり試験に受かることに固執するのではなく、他の資格の勉強をすること自体は、推奨すべきことなのです。 私が危惧するのは、あなたが、いわゆる「資格マニア」になってしまうことです。世の中には、次から次へといろいろな資格を取得する人がいますが、往々にしてそういう人は、どの資格も活かしていないことが多いものです。何十個もの資格を持っていながら、会社でまったく関係のない部署に就いている人もいるのです。 そういう人にとって、資格を取得することは趣味です。人の趣味についてとやかく言うつもりはありませんので、その人はそれで良いと思いますが、少なくともこの連載をお読みになっているあなたは、資格取得の趣味はお持ちではないでしょう。苦労の末に手に入れた社労士の資格を武器に、世の中に打って出たいと考えていらっしゃるのでしょう。それであれば、専門学校の宣伝文句に躍らされて、資格マニアへの道を突き進んではいけません。社労士一本でも十分であり、社労士資格を活かす方法を考える方が大切であることを、肝に命じるべきです。そもそも、社労士の資格一本すら活かせない人がダブルライセンスを持ったところで、他の資格を活かしきれるわけがないのです。 勉強したいという方は、具体的には、税理士やFPなどがよいと思います。税理士は難しいので、代わりに簿記でも良いでしょう。 なお、例外として、行政書士の資格は取得しておいてもよいかも知れません。私の知り合いの開業社労士にいろいろ話を聞いてみると、「開業当時、顧問先がまったくなく収入がなかった頃、建設業許可申請などの行政書士関係のスポットの仕事がときどき舞い込んで、おかげで食いつなぐことができた」という声が多くあったからです。行政書士の勉強をすることで民法にも強くなれますので、今のうちにチャレンジしておいてもいいかもしれませんね。 ただし、あくまでも社労士一本でも十分であるとの事実を忘れてはなりません。行政書士の資格がなければ社労士として成功できない、わけではないことを認識してください。 特に行政書士試験も、最近かなり難しくなりましたので(平成12年度試験の合格率は8%)、片手間で合格できるような甘い試験ではありません。合格するためにはかなりの労力が必要ですので、最初からあきらめて社労士一本に的を絞るのも一つの手かも知れません。
2、どんな書籍を揃えればよいか 先に、「開業しても勉強は続けるように」ということで、「書籍を購入する」ことが大切であると書きました。では、開業までに最低限どのような書籍を揃えておけば良いでしょうか。 (1)基本テキスト (2)条文集 (3)あなたが特に専門としたい分野の書籍 (1)基本テキスト あなたが受験時代使用したテキストのことです。開業後は、受験時代の知識を風化させないことが必要です。そのために、あなたが受験時代に使用したテキストの最新版を購入しておきましょう。さらに、毎年出版されるたびに買いかえるようにしましょう。受験時代に使用したテキストにこだわらず、もしもっとわかりやすいものがあれば、それでも良いでしょう。時々読み返す努力を怠らないように。 (2)条文集 社労士は、法律という名の専門知識を切り売りしてお金を稼ぐ商売なのですから、法律そのものである条文集は当然揃えておきましょう。条文を読むのに苦痛を感じない方は、(1)の基本テキストの購入は必要ないともいえます。 受験時代条文集を使用せず基本テキストのみで合格した方も、開業後は購入しましょう。受験は、とりあえず試験に合格することが目標でしたから、全体によくまとめられた基本テキストのみでも良かったのですが、開業後は、法律のプロとして顧客に接するのですから、条文集を購入して、条文を読むことにも慣れなければなりません。 購入の際は、いわゆる六法ではなく、社労士向けの条文集を選びましょう。また、毎年買い替えることも忘れてはいけません。 (3)あなたが特に専門としたい分野の書籍 社労士は専門分野の広い資格なので、多くの開業社労士が、自分の得意とする分野を持っています。ある人は年金、ある人は賃金体系、ある人は労働法、といったごとくです。あなたも、絶対誰にも負けないと言える専門分野を作った方が良いでしょう。そのためには、書籍での勉強は欠かせません。ただし、開業当初は自分の得意分野が何かもよくわからないものです。開業後徐々にわかってきますので、書籍も少しずつ買い揃えていけば良いでしょう。 3、会社の辞め方 現在会社勤めをしている方は、開業にあたって会社を退職しなければなりません。会社を通じて培った人脈は開業後も貴重な財産となりますから、トラブルを起こさない円満退社を心がけましょう。 (1)法律に固執しない。 あなたの会社の就業規則の規程に従いましょう。たとえば退職願の提出時期について、「1カ月前までに提出すること」との規程があれば、きちんと1カ月前までに提出するのです。あなたは、「民法によれば2週間以上前でよく、民法と就業規則では民法の方が優先」であることをご存じでしょうが、変に法律をふりかざしても、会社から悪印象を持たれるだけで、何もいいことはありません。 また、あなたがきちんと就業規則の期日までに退職願を提出したとしても、場合によっては、会社が「辞めることは許さん」と言ってくることもあります。これもまたあなたは、「会社がなんと言おうと、労働者は自由に退職する権利がある」ことをご存じでしょうが、そこでも変に戦ってはいけません。会社が引き止め策に出るということは、自分が会社から期待されていたからだと、なにごとも良い方向に受けとめましょう。あなたの退職の意志が固ければ、真摯な話し合いによって、会社も必ずわかってくれるものです。 (2)引継ぎをきちんとする 「立つ鳥後を濁さず」といいます。業務の引継ぎは完璧に済ませてから退職しましょう。 (3)上司、同僚、得意先への挨拶回りを忘れずに 上司、同僚は退職日に、得意先へは4〜5日前から計画を立てて、退職のご挨拶をしましょう。これまでお世話になったお礼の気持ちを、ていねいに伝えましょう。このときに相手に好印象を与えておけば、開業後、その人があなたを助けてくれることもあるかも知れません。 4、一国一城の主になるのだとの自覚を持つこと 多少精神論になってしまいますが、開業にあたって、「これからは一人でやっていくのだ」との自覚を持つことが大切です。 会社員である間は、有形無形で会社に守られて仕事をしていました。現在会社員のあなたはひょっとしたらあまり実感がないかもしれませんが、私のように一人でやっている人間から見れば、毎月のお給料をきちんといただけるということは、大変なことなのです。時に忙しくて嫌になることもあるかもしれませんが、逆にあなたが暇で会社にさほど貢献しなかった月も、会社は決まった額の給料を支払っている事実を忘れてはなりません。毎月決まった額の給料がもらえることのありがたみは、独立してはじめて骨身に染みてわかることでしょう。 また、あなたが現在営業マンであるとすれば、あなたが会社の商品を販売できるのは、決してあなた一人の力によるのではなく、会社の信用があってのことなのだ、ということも忘れてはなりません。あなたは、あなたが所属する会社の社名が入った名刺を持って顧客を訪問し、商品を販売します。もしも、社名を入れない名刺を持参した場合、顧客に同程度に信頼してもらえるでしょうか。顧客は、あなたの営業力、人間性も当然みていますが、それに加えて(ひょっとしたらそれ以上に)、あなたの会社を信頼してはじめてお金を払ってくれるのです。 世の中には、一流企業に勤めていると、自分も一流になったように誤解してしまう人がいます。本当は会社の信頼で商売ができているのに、それを自分の信頼と勘違いしてしまうのです。こういう人が独立すると、まず失敗します。自分は営業力があると思い込んでいたのに、見事に打ちのめされてしまいます。以前に抱いていた自信が強固なものであればあるほどショックの度合いも大きいようで、もはや立ち直れない人がほとんどであるようです。 開業したら、もう会社の後ろ盾はありません。あなたという個人が、正面から顧客に向き合わなければならないのです。 「一国一城の主になるんだ」との自覚を持つことが、いかに大切かがおわかり頂けたでしょう。 商売人として守るべき2つのポイントをご提示しておきましょう。 (1)時間と期限は、絶対に守ること 待ち合わせその他の、約束した時間は必ず守りましょう。また、仕事の期限は必ず守りましょう。これらは社会人としては最低限のルールですが、身体だけは大人になっても最低限のルールする守れない人が大勢います。あなたはそんな人ではないと信じていますので釈迦に説法かもしれませんが、一応聞いてください。 時間を守らないことを例としてお話ししましょう。あなたはAさんと時間を決めて待ち合わせしました。Aさんは時間通りに来て待っていましたが、あなたが15分遅れました。 あなたにしてみれば「わずか15分」かもしれませんが、Aさんの立場に立って考えてください。Aさんは時間通りに待ち合わせ場所に来るために、ひょっとしたら道々走ったかもしれません。また、できればある用事を済ませたかったのに、それでは時間に遅れてしまうので、泣く泣くその用事を先送りにしたかもしれません。 一方あなたは、用事を一つ済ませ、待ち合わせ場所までもゆっくり歩いていき、結果15分遅れたのです。 時間に遅れることが、相手にいかに失礼であるかが、おわかりいただけたでしょう。 仕事とは、信用の積み重ねです。まず、時間と期限を守ること、これを厳格に実行すれば、あるときあなたの顧客はあなたがいないところで、他に人にこう言うでしょう。「あの社労士さんは、時間と期限をいつもきっちり守るから、信用できるよ」 (2)一個一個の仕事を誠心誠意確実に行うこと 期限を守るのは当然ですが、本当の信用を形造るには、仕事の中身も大切です。一つ一つの仕事を決して手を抜くことなく、真心を込めて、誠心誠意行いましょう。信用は、積み重ねによってしか生まれません。 5、配偶者の協力を得ること あなたが結婚しているならば、開業にあたって、なんとしても配偶者の同意を得るようにしてください。夫婦は一蓮托生です。配偶者の理解を得られないままに開業しても、うまくいくはずがありません。じっくりと腰を据えて話し合い、理解してもらうように努力してください(押しつけはいけません)。配偶者の理解が得られないのであれば開業はやめた方がよい、と言ってしまっても過言ではないと思います。 現在の真島からちょっと補足 |
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