| 真島社労士塾トップ > 実務はこんなにおもしろい!> 第5回 | 真島社労士塾 | |
こんにちは。社労士の松岡です! 日増しに春めいてきましたが、如何お過ごしですか?チョ〜寒がりの私にとっては、本当の春が来るまで冬眠をしたい気分です。 先日、私にとって兄貴分的存在である先輩社労士が、この連載(雨宮先生分を除く)を読んで、こんなことを言っていました。 先輩:「マッちゃんよぉ、連載のタイトル、変えた方がよくね〜かぁ?」 松岡:「エッ、どう変えるんですか?」 この先輩社労士は、非常に勉強家で知識量も豊富です。しかしながら、実務に就きだしたのは、ホンの数年前。実務経験豊富なベテランの社労士に比べれば、まだ新人社労士におそらく分類されるでしょう。 確かに、私のような新人社労士にとっては、この先輩社労士がいうように「実務はこんなに大変だ!」の比重の方が大きいのも事実です。一軍を目指して頑張っている最中ですから、大変なのも仕方がないでしょう。「大変だ!」でやめていたら、「大変だ!」のままなのでしょうが、「大変だ!」を繰り返し成し得たとき、初めて「おもしろい!」になるのでしょう。「おもしろい!」の域になるのは、まだまだ、ずっ〜と先のお話です。 でも、二軍は、二軍なりに、「アーだぁ、コーだぁ」と悩んだりして、おもしろいもんですよ。プラス思考に考えないと、顧問先の相談を受けるたびに、自分自身が病気になってしまいますから・・・。 【年次有給休暇】 皆さんは、年次有給休暇(以下、「有給」とする)をどれくらい消化していますか?または、サラリーマン・OL時代にどれくらい消化していましたか?私は、この連載の第1回目でもお話したとおり、約10年間のサラリーマン生活で有給を1回も消化したことがありません(正確に言えば、1日も取得させてもらえなかった!)。 私ごとですが、初めて有給の申請を上司にしたときのお話をしましょう。 入社1年が経過した頃、大学時代の友人と有給を取って、旅行に行こうという計画を立てました。小売業に勤めていましたから、土日は休みではありません。直属の上司に有給の申請をしました。 松岡:「××日に有給が取りたいのですが」 上司:「ウチの会社には、有給が無いんだよ」 松岡:「ホントですか?ウチの会社には有給がないんですか!そうですか・・・」 社労士としての知識は当時ありませんから、有給は、法律上当然に要件を満たせばもらえるものだということを知りませんでした。「有給」という言葉は知っていたものの、本当の意味するところは、知りませんでした。したがって、「有給は、会社から与えてもらうものだ!」と硬く信じていました・・・法律を知らないということは、本当に怖いことですね。 結局、有給はもらえませんでしたので、友人にはこう言いました。 松岡:「私が勤めている会社には、有給が無いんだって!」 友人:「フン〜、松岡が勤めている会社には有給無いんだぁ・・・」 次の年にも同じような遣り取りを新たに着任した上司としたのを覚えていますが、結果は同じです。私の同期も同じような遣り取りをしていましたが、有給をもらったという話を聞いたことがありませんでした。 気が付いてみると、「ウチの会社には、有給は無い!」と上司(会社)に洗脳された自分がいました。もっと恐ろしいことは、入社数年後に、私が上司となり、私の担当する売り場の正社員の部下やパートさんに対して、「ウチの会社には、有給は無い!」と洗脳している自分がいたことです・・・当時の部下やパートさん、ゴメンなさいねぇ! しかし、さら数年後、あるパートさんが、「有給をもらえないなんておかしい!」と有給について書かれた雑誌の記事を片手に駄々を捏ねるので、今までどおり、「ウチの会社には、有給は無い!」とねじ伏せようとしたのですが、このときばかりはダメでした。 雑誌を読んでみると、パートさんの言っていることがどうやら正しいらしい・・・後日、労働基準法を解説した書籍を購入して読んでみると、パートさんが言っていることが本当に正しいらしい・・・。そのほか、書籍と照らし合わせてみると、法律用語だらけでよくはわからないけど、「どうやらウチの会社は労働基準法に違反していることだらけだぁ!」ということが漠然とですが、わかりました。 法律を知らないと、以上のようなお話になってしまうのでしょう。しかし、類似したお話は社労士仲間からもよく聞きますし、実際に顧問先でもありました。 《有給という制度をやめてしまったんですよ・・・》 顧問先αで有給の件で相談があったので、たまたま次の日、顧問先βを訪問した際に、有給の取得状況を聞いたときのお話しです。 松岡:「御社の有給、取得状況の具合はどうですか?」 松岡:「・・・・・・(いつものことながら、目点です)」 この社長さんは、日頃、法律は守ろうという意識はある方です。サラリーマン時代の私と同じように単に法律を知らなかっただけなのです。「有給は会社が与えるものだぁ」と硬く信じていたようです。この会話以降、労働基準法の有給についてお話をしたところ、顧問先βでは、有給が導入されましたぁ!・・・新しい制度を導入した訳ではなく、法律どおりになっただけのお話です。 中小零細企業の社長さんは、額に汗して一生懸命に働いていますが、残念ながら有給を初めとする法律の知識はほとんどありません。正直なところ、自社の本業のお仕事のことで頭がいっぱいで、余力がありません。したがって、自分では法律違反をしているつもりは全くなかったのだが、法律の知識がないために知らずしらずに法律違反をしていたとか、法律は知っていたけれども、改正情報を知らなかったために結果として法律違反になってしまったなど、よくあることです。 そのほか、有給についてよく見かける法律違反は、現行の付与日数になっていないことです・・・法律を下回る会社独自の付与日数をよく見かけます。 《有給を全部消化されたら、困る》 大企業の従業員が有給で休んでも社内に代替要員はたくさんいるので、複数の従業員が分担すれば、さほど仕事量は増えないでしょう。中小零細企業では、仮にAさんが有給を使おうものなら、Aさんのお仕事をBさん一人がしなければなりません。Bさんがいればまだいいのですが、零細企業ではBさんすらいないことの方が多いです。つまり、代替要員がいません。このような状況下では、「有給が欲しい」なんて言い出せる雰囲気はありません・・・毎日が、業務の正常な運営を妨げる場合に該当しています! 人件費の視点から考えても大変です。人件費を切り詰めるため、最少人員で仕事をし、社長さんまで夜遅くまで働いています。 顧問先αの社長さんがこんなことを言っていました。 「有給を与えなければいけないのはわかっているけど、年間で20日も有給を消化されたら困るんだよ。20日といったら、約1ヶ月分の出勤日数だからねぇ。働きもしないのに1ヶ月分の人件費が毎年必要なんだから、頭が痛いよ・・・」 この発言は、顧問先αの社長さんのみならず、零細企業の社長さんたちのホンネかもしれませんねぇ。社歴がかなりあり、有給を全然消化していなければ、全年度と合わせて40日の有給を持っている従業員も少なくありません。40日も消化されたときは、頭が痛いどころか、発狂ですかね。 《労働者は何でも知っている!》 今の労働者は有給だけに限ったことではないのですが、法律の全体像はわからなくても、法律違反をしているらしいという情報を知っています。なぜならば、パソコンの普及に伴い、インターネットで簡単に検索できるからです。インターネットでキーワードを入力すれば、簡単に何かしらの情報を得ることができるようになりました。 パソコンが普及するほんのチョと前までは、法律違反をしているのではないかと疑いを持ったとしても、何をどう調べればよいかわかりませんでした。司法試験を目指した人でなくても法学部卒であれば、六法全書で調べたかもしれません。知人に弁護士や社労士のような専門家がいれば、相談しアドバイスを受けることができたかもしれません。そういう人ばかりではありませんし、書店や図書館へ行っても、今ほど、一般向け読者に法律をわかりやすく解説した書籍も少なかったように思います。 パソコンの普及でいろいろと便利になったのも事実ですが、社長さんや人事担当者にとっては、都合の悪い時代になりました。ほんのチョと前までのように、「労働者は何も知らないだろう」的な発想は通じなくなりました。裏を返せば、会社と労働者がお互いに法律をよく知って、よく守るときが到来しのかもしれませんねぇ。 《労働基準法を適用しなければいけないとわかっているけれど・・・》 有給からは逸脱しますが、顧問先βを訪問すると、いつも思うことが2点あります。 1点目は、「零細企業にも、労働基準法を本当に適用しなければならないのか?」と、2点目は、「家族経営って何?」です。 この顧問先βは、社長さんを含め、従業員は4名の町工場です。賃金計算や事務を担当していた社長の奥さんが亡くなられ、知り合いを通し私のところへお仕事のお話がきました。 社長さんは、従業員と同じように働き、従業員を家族同様に大事にしています。 古い労働者名簿を見せてもらったとき、昔は皆さん会社近くの住所で部屋番号だけが異なっていたので寮生活をしていたようですし、入社日や年齢から推測してみると、従業員さんはおそらく、地方農村地域の中学校を卒業して、東京へ集団就職してきた、かつて「金の卵」と呼ばれた方々のように思います。 労働基準法の適用除外の1つに、「同居の親族のみを使用する事業」がありますが、顧問先βで言えば、40年近くにわたって、従業員を家族と同様に扱っているのが現状です。 零細企業でも、社長さんが従業員を酷使しているような会社には、労働基準法の適用があってしかるべきだと思います。しかし、誰が見ても、本当の家族でないのは明らかであるけれど、この顧問先βのような家族的経営をしている会社にまで労働基準法を初めとする法律が介入してよいものだろうかとホント悩みます・・・このように考えるのは、私だけでしょうか? この顧問先β以外でも、中小零細企業には、労働基準法そのものを適用してよいだろうかと思う事例は多々あります。例えば、どう考えても、労働基準法の適用が難しいと思われる業種はあります。労働局や労働基準監督署に相談してみると、「そんなことがあるんですか?」といわれることもよくあります。労働局や労働基準監督署の方は、たくさんの事例を知っているのでしょうが、デスクワークが中心の彼らからすれば、想像も付かないような働き方を実際にしているのが、中小零細企業の従業員なのかもしれません! 次回は、年度更新についてお話する予定です。お楽しみに!
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| 第6回に続く |